第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 04 節「後継の時」
メレナティレ城を出たフィヲは、まずファラを休ませなければと思った。
外にはトーハが技師仲間を集めて待っていてくれた。
「フィヲ、上手くいったのか!?」
「はい・・・。
トーハさん、まだ敵はいますか?」
「お前たちが住民を味方にしたおかげで、町の中の敵はほぼ鎮圧することができた。
あとは外から来なければいいが・・・。」
井戸のそばにファラを寝かせると、味方になった兵士や婦人たちが集まってきて助けてくれた。
「大丈夫よ、無理をしないでね。」
言葉を発せずただ頷いたファラに、フィヲはヒーリングを与える。
「お城の中に、ヨムニフとホッシュタスがいるの。
“LIFE”の魔法陣で呵責(かしゃく)していて、自分の力では起き上がれないはず。
だからお願い、誰も中に入れないで。」
「分かった。
ここは任せなさい。
・・・空から入ってくるものはないかね?」
フィヲも心配になった。
屋上にホッシュタスがいるのだ。
「トーハさん、お願いばかりですみません。
このお城を、方陣で囲えないかしら?
計測してもらえないですか?」
「ああ、すぐにやってみよう。」
ミサイルを搭載した機体を並べて、上空から城へ入ろうとする者があれば迎撃できる体制が組まれた。
トーハは紙の上に城と方陣の図を描いている。
そこへ、兵士が駆けてきて告げた。
「森にコウモリの翼を生やした剣士や術士が溢れています。
すでに何人かやられました・・・。」
「なんですって!?」
今動き回れるのはフィヲだけである。
すぐに飛び出して行こうとするのを、トーハが遮った。
「待ちなさい。
お前が出るのは最後でいい。
ファラくんは、まだ戦えないか?」
ちらっとファラを見たが、フィヲは首を横に振る。
「それなら機体を動かそう。
飽くまで時間稼ぎだが。」
「・・・やっぱり、わたし見てくる!」
「あ、ああっ、いけない・・・!!」
すると、剣を杖のようにして立ち上がったファラが言った。
「フィヲ、いいよ、ぼくが行く。
さっきの魔法陣で、ぼくに触れてくれないか。」
泣き出さんばかりの顔でフィヲはファラの体を支えた。
「大丈夫、泣かないんだよ。
ほら、魔法陣を・・・。」
水面に触れたように波紋が広がって、ファラの五体に“LIFE”のリズムが遍満(へんまん)した。
「はははっ、身が軽くなった。
魔法は使わない。
ぼくは騎士ツィクターの子だからね!」
それを聞いて、メレナティレの騎士たちは驚いた。
「なんと!?」
「ツィクター殿は我ら騎士の鑑(かがみ)。」
「どこまでもお供します!」
ぞろぞろと集い来る騎士は、総勢30名ほどになった。
「よしっ、きみたちをLIFE騎士団の『選抜部隊』に任命する!」