第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 03 節「帝都の暴政」
ウェポンブレイク、アーマーブレイクを主戦法とするLIFE騎士団は、橋の上でも川の中でも猛攻し、徐々に敵を後退させていった。
「住人には危害を加えない。
メレナティレからリザブーグを分離して守るために来た。」
そこここで繰り広げられる応酬の中、熱烈に弁を揮(ふる)って説得を試みるLIFE騎士たちの姿があった。
「出発するまでは味方だったじゃないか!
それが、どうして帰国を拒むんだ!」
王国騎士たちは人間らしい表情を失っており、言葉も発することなく、ひたすら剣を繰り出してきた。
かつては王国に属し、訓練のため彼らと剣を交えることも多かったLIFE騎士たちにしてみれば、どうにも腑に落ちないことがある。
王国騎士たちが戦闘力を落としているようなのだ。
演習を怠っているのだろうか?
機械兵が主流となっているからだろうか?
あるいは彼らが弱くなったのではなく、自分たちが強くなったのか。
ウタックは顔見知りの相手に当たって、挑発のつもりで怒鳴りつけてみた。
「世間知らず、恩知らずのカザロワに仕えて、心だけじゃなく腕まで腐っちまったか、ああ?
黙ってねえで、一発撃ち込んできたらどうなんだ!?」
彼が強突を捻じ込むと、以前ならかわされるか、必ず受け返してきたその相手のボディに、もろに入ってしまった。
ドシン、と橋の上に倒れ、あまりの威力で体がバウンドした。
「おい!
手ぇ抜いてんじゃねえよ!
立て、おら立て!!」
痙攣して起き上がれない相手の頬に平手を食わして腕を引き上げ、肩に担いだウタックは、今来た方へ引き返し、男を介抱した。
「何とか言ったらどうなんだ、ええ?
王国騎士は一体、どうしちまったんだよ。」
「・・・。
う、ウタック・・・。」
「おお、おめえ・・・。」
先とは様子が異なっている。
むしろ彼がよく知っているその男の雰囲気が戻ってきた。
「気をつけろ・・・、ホッシュタスという術士、人の心を操るらしい・・・。
ゲホッ、ゲホッ。」
「ああ、ああ、わるかった、やり過ぎたよ。
お前だから遠慮なく撃ち込んだのによ。
・・・ホッシュタスか、みんなにも伝えておくぜ。
しばらく休んでろ。」
ウタックが戦線に駆け戻った時、城門の中から3基の砲台が運ばれてくるところだった。