The story of "LIFE"

奥へ入るとタフツァが少年ウィロと話しながら食事をしている。
ヱイユは声をかけた。

「あっ、あなたは･･･！！」
「ははは、昼の休憩中か。」
「ヱイユ、強敵を引き受けてくれたようで、･･･すまなかった。」
「実は奴ともまだケリがついていなくてな。
厄介なのが総出でメレナティレへ集結していやがる。」

ウィロはちょうどファラに近い年齢だが、経験不足のため戦闘に立たせるわけにいかない。
少しずつ戦う力も身についてきていて、ヱイユから見るとわずかながら“ＬＩＦＥ”の資質を開花し始めているように思えた。

ヱイユは一応、ソマとヤエとで会議にしたいと言って、タフツァのウィロに対する考えを確かめた。
ソマの周りにいた少女たちに配慮したように、この少年にも全てを聞かせるべきか、気遣ったのである。

ウィロが口を開く前にタフツァが言った。

「この子も同席させたい。
御者として馬術にかなりの腕前を持っている。
それに魔法の方も、本当によく勉強しているんだ。
僕が責任を持つから。」

ヱイユは声を発せず、にっこりと笑った。

犬のゴウニーを外につなぐと、ソマたちが来るまでしばし３人で語り合う時間ができた。

「何の魔法を覚えたんだ？」
「『クネネフ』です。」
「ほう。」
「３０メートル先に置いた空き缶を吹き飛ばせるようになりました。」
「ふむ、なかなかできるものじゃない。
他に、体は鍛えているのか？」

ウィロは頬を紅潮させながら、瞳を輝かせて、カバンの中から彼らの機関紙を一部、取り出してヱイユに見せた。

「この新聞を、３００人に、走って配っているんです。」
「そんなにか･･･。
よし、『機関紙“ＬＩＦＥ”』と名付けたな。
先生がご覧になればきっと喜ばれるだろう。」
「ぼく･･･、シェブロン先生にお会いしたいんです。」
「ああ、きっとお会いできる。
きみも男だ、何でもいい、一つ武器を扱えるようにしておくといい。」

タフツァはこの少年が自慢らしい。
うれしそうに言った。

「彼は、カウボーイの技で、『投げ縄』ができる。
逃げて行く獲物を馬で追いかけて捕縛するのが上手いんだ。」

照れるウィロを見て、ヱイユは「投げ縄」を応用することで、実戦にも有効な新しい戦法を編み出せるのではないかと、重ねて期待の励ましを送る。