The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 02 節「悪王と邪師」

第 06 話
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小さな食卓のあったリビングで、ファラとフィヲは休んだ。
フィヲはファラに話したいことがたくさんあったのだが、彼を休ませるため、自分が先に眠ったふりをしていた。

イデーリア大陸での激しい戦闘と、“フィナモ”の喪失、その消耗から回復しないまま、ホッシュタス、テンギとの交戦。

船旅にしても、少年が疲れていないはずはなかった。

フィヲを気遣いつつ、彼女が静かに眠っているようなので、ファラは安心して深い眠りに落ちた。

まだ暗い時間から、トーハは起き出して、自分の弁当と、二人の分の食事を用意し、手紙を書き残してくれていた。

『仕事に出掛けなければならない。
この町外れの通りも、技師ばかりが住んでいて、昼間もし人がいると知れれば憲兵の目に触れる。
階段の下にわしの研究室があるが、扉を内側から施錠して、今日は一日、地下室で過ごしなさい。
悪いが散らかっているから二人で片付けて、当分居られるようにしてもらって構わない。
降りる前にはリビングの消灯を忘れないでくれ。
窓は台所以外、全部締め切っておくのがいい。』

朝、フィヲが先に起きた。
彼女は一番に手紙を見つけ、寝起きながら鮮明な意識で周囲に気を配る。

まだこの時間は近隣にも出掛ける前の住人たちの生活音が聞こえていた。

水で喉(のど)を洗ったり、トイレに行って戻ると、ファラが目を覚ましたようだ。

彼女はにっこりと笑って、声を発せず、トーハの手紙をファラに見せる。

ファラが頷くと、フィヲは書かれていた通り、地下室への入口を開けて、二人分の食事を持ち、先に入っていった。
階段は薄暗いが下には電球が2つある。

しばらくしてファラが降りてきた。
几帳面な性格だったので、トーハの留守は誰からも疑いないだろう。

まだ小声の癖(くせ)が抜けていない。

「おはよう、トーハさんに会った?」
「ううん、もう出掛けていたの。
ほら、ご飯、もらおう。」

二人きりの朝食となった。
ここはトーハの仕事場で、散らかっているという以上に、昨日の彼の仕事がそのままになっている。

床は全て石張りであって、金属の工具類も機械も場所を占めているので、横になれる感じではない。

「大事な作戦になる。
長居もできないよ。
各地から集まってきている、先生の教え子全員の動き方、戦い方がぼくたちにかかっているんだ。」
「うん。
わたしも慎重に、真剣に考えます。」

食事の間、互いの体調のことを話したり、精神的にまいっていないかなど、よく励まし合った。
こうした場面では、特にファラが気恥ずかしい思いになってしまう。

だがロマアヤへ向かう前から行動と一念とを供にするよう努力してきた二人は、心配するまでもなく、全ての面において、しっかりと連動するギアのように、決戦への準備が整っていくのだった。

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