The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 02 節「悪王と邪師」

第 01 話
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激しい雷雨が鳴り響いていた。

王城メレナティレの6階で、カザロワ王は北を眺望しつつ、ニヤニヤと笑みを浮かべた。

彼にオルブームを攻撃するよう進言したのは、レボーヌ=ソォラから逃亡してきた術士、ヨムニフだった。
20年近く前にも同じ名前の術士がリザブーグ暴政下で暗躍したものである。

肉体は変わっても、そのどす黒い“生命”は全く同一の人間なのだ。
彼は継ぎ合わせたようなガタガタの四肢を捨て、また別の術士の体を奪い取っていた。

「ゲルエンジ=ニルはヱイユの玩具に過ぎん。
奴のメゼアラムを破壊して、竜王を飼ってみるのも面白い。」

下品な笑い声が断続的に王の間を揺する。

カザロワは何かの弱みをヨムニフに握られているらしく、表向きは臣下として扱いながらも、彼のこのような物言いを黙認していた。

「侵攻のことはお前に任せよう。
好きにやるがいい。
もうすぐミナリィからホッシュタスが来るが、はて、どうもてなすのがいいか。」

・・・この男、術士とテンギを恐れているな・・・。

その気になればカザロワを殺害することくらい、いとも容易(たやす)い。
しかしヨムニフは味方を装い続ける。

なぜなら、まだ多くカザロワを利用できるからだ。

「ホッシュタスは闇の者。
正式な謁見を与える必要はない。
何もかも我々に任せておけばいいさ・・・。」

カザロワは身震いした。
それでも顔は引き攣(つ)ったように歪んで笑む。

翌朝、いったん雨がやんだ暗い空の下、カザロワはヨムニフとともに、メレナティレ兵300、兵器30基、機械兵50体を従え、新港の船渠(せんきょ)に立っていた。

邪師ヨムニフが杖を振って儀式を始めると、海が渦巻きながら、次第に赤く染まっていった。

身を裂かれた魚の死骸が次々に浮かんでくる。

「フハハハハハハ・・・!!」

その光景を見ると、まだ正常な意識を保っている人間は恐ろしくなった。

ヨムニフの笑い声が狂気を帯びてくるにつれ、海はますます赤く猛り、竜巻が天に立ち昇り、上空には黒い雲が集まってくる。

海面におぞましい「六芒星の魔法陣」が、生態系破壊の「逆方向」で浮かび上がっていた。

怒りに狂った竜王ゲルエンジ=ニルは、ついに海の底から姿を現した。

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