The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 01 節「魔都集結」

第 18 話
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皆の夕食の片付けを済ませたフィヲが探しに来た。

「みんな部屋に戻ったわ。
ファラくん、まだ外にいるの?」
「フィヲ、片付けごめんね。」
「いいえ、奥さんたちと仲良くなれてよかった。
・・・ねえ、これから二人で、海の方に、行ってみる?」

ファラは彼女を見て優しく微笑み、首を振りながら、部屋へ入ろうと言った。

「ねえ、ここ、覚えてる?
初めて会った日の夜。」
「そうだった、ザンダとドガァもいたね。」

ゆっくり階段を上り、2階の部屋へと向かった。

「ほら見て、おばあちゃんのルビーよ。
ファラくんが拾ってくれたの、ね。」

一緒にいるだけで心がはしゃいでしまう。
その気持ちを大切に抑えつつ、ファラは女性たちの部屋の前でフィヲに「おやすみ」と言い、船乗りの部屋へ入って行った。

夜、ファラはなかなか寝付けなかった。
頭の中でぐるぐると考えてしまうのである。

『ぼくとフィヲで、空(そら)からメレナティレへ降りて、そこで全てを敵に回して戦うのか・・・?
どれほどの兵士や機械とやりあうことになるだろう。
とても体力が続かない・・・。』

寝返りを打って、また考える。

『大セト覇国はロマアヤを侵攻していた。
だから、やめさせるために強い言葉も発せられたし、最大の力で撃退できた。
それが今度は、こちらから攻めて行くとは・・・。』

両手を枕にし、仰向けになる。

『トーハさんの協力が得られないだろうか。
・・・いや、いけない、巻き込んでしまう。
トーハさんには戦うすべも、身を守るすべもない。』

目をつぶって、眠ろうと試みたが、意識はますます鮮明になっていった。

『しかし、メレナティレに入るのが困難だからと言って、ただ外から様子を見ているだけでは、彼らの非道を通してしまう。
力づくでもやめさせなければ。』

以前、リザブーグ周辺でロボットと戦った時とは、こちらの戦闘力がだいぶ違っている。
相手が機械だけに危険とも言えるし、単純とも言えるかもしれない。

敵地のど真ん中へ風穴をあけるべく、ファラの思考は、明日フィヲと話し合う内容へと発展していった。

すると懸念していたことが一つ一つ解決できそうに思われてきて、高ぶった神経は休まり、やがて眠りに落ちた。

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