The story of "LIFE"

第 10 章「無量義(むりょうぎ)」
第 01 節「魔都集結」

第 03 話
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戦士やその卵である青少年が持つ資質を引き出し、適切な武器を推薦して、体格などに応じた戦法を授ける。
これが昔からのスヰフォスの指導であった。

彼が見て取れる資質は体力と技術の面だけではなく、魔力と精神の面にも及んでいた。

“LIFE”はまだ知らない。
けれど“心”によって物理戦法の内容も、発動する魔法現象も、目指す方向も決まっていく。

初めてファラが訪ねて来た時、彼は衝撃を受けた。

まだ幼さの残る少年が、両親と別れて一人で旅をしている。
ただ、そのことだけではないのだ。

どのように育てたら得られようか。
漏洩することなく湛えている、溢れるほどの魔力。
使い方を知らなくても、持てる力の限りを出し切れる判断の速さ。

樫の木でできた杖を、まるで剣のように使う。

彼は金属でできた武器を与えることを迷った。
そして思い止(とど)まってしまった。

丈夫ではあるが殺傷力も攻撃力もない、魔法使いの杖。

木の枝に等しいこの武器だけで、少年がどこまで行けるのか。
老年にさしかかるスヰフォスの胸が、若返ったように躍っていた。

村の子供たち、ファラより年長の子もいる。
誰もかなわない。

学師の教えを求めてやってくる、本物の武器を持った大人でさえ、樫の杖に勝てなかった。

『伸び盛りの今、預かった以上、わしには責任がある。
魔法の資質も伸ばしてやらねばならぬ。』

武器の調達ならば造作もないスヰフォスが、苦心して魔法の本を集めてくれた。

フィナモ、パティモヌ、クネネフ、ドゥレタ、ザイア、ズーダ。
四属性と冷熱。

その中に混じって、「ロニネ」の本があった。

少年は思い出したように、懐かしそうに、開いてみたり、表紙を眺めたり、胸に抱きしめたり、いつまでも手放さない。

やがて尋ねた。

「先生、この本の文字、何て読むんですか?
・・・ロ、ニ、ネ、そうだった!」

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