The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 03 節「悪鬼魔民(あっきまみん)」

第 14 話
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「しばらくおとなしくしていてもらう。」

ファラが身動きを封じる「ゾー(重力)」を使った。

すると、フィヲの悲鳴が聞こえた。

「ファラくん!
こっち、気をつけて・・・!!」

ホッシュタスだ。
ファラの魔法につられて出てきたらしい。

「ふむ、まだ魔力が残っているか・・・。
ふふふっ、それでいいんだがな。」
「お前、何が狙いなんだ!?
メレナティレに行ってどうする?」
「勘違いしてもらっては困る。
おれたちは連れ去られかけただけさ。」
「それなら早く船から降りろ!
こいつらを国へ帰還させる。」

不気味に裏返る高音でホッシュタスの笑い声が響き渡った。

「そんなに甘い考えを本気で言っているのか。
狙いと言えばな、お前の“生命”か、ふっふっふ・・・!!」
「ぼくの“生命”だって・・・?」

フィヲが駆け寄って耳打ちした。

『ファラくん、あいつ、あなたの魔法を狙っているんだわ。
“フィナモ”も、どこかに隠し持ってる。』
『じゃあ、取り返せるかな?』
『きっと罠でもあるのよ。
そこに執着しちゃダメ。
“フィナモ”はわたしに任せて。
ここで捕まえておかなければ、イデーリアだけでなく、マーゼリアも、世界も、大変なことになってしまう。
今は倒すことに専念しましょう。』

二人は頷き合った。

魔法を放たなければ奪われることはないのだろうか。
・・・まずは戦ってみるしかない。

ホッシュタスは捕縛されている間、カーボン製の杖を取り上げられていたはずだ。
今、船の中にあったと思われる戦杖を手にしていた。

『物理戦で消耗させなければ・・・。
それにしても、近付き過ぎるとどんな反撃を受けるか分からない。』

ロニネを張って飛び込むのも危険である。
もし奪われれば、今後の戦いが格段に不利になってしまう。

「どうした小僧!
身動きも取れないか。
おれを捕まえるんじゃないのか?」

挑発に乗れば相手の思う壺。
しかし相手はテンギを意のままに操れる。

もう手段は選んでいられなかった。
“フィナモ”なしで“LIFE”の実現ができないなら、他の魔法を失ったところで同じこと。

ファラは吹っ切れた。
前夜と同様、再びの“闘神”が、彼の中で目を覚ました。

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