The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 03 節「悪鬼魔民(あっきまみん)」

第 11 話
前へ 戻る 次へ

一度倒された程度では、反撃の機会を狙っている者もいる。
そこはフィヲに抜かりはない。

地面に横たわる敵兵からは漏(も)れなく力を奪い取り、ファラに与えるか、自ら利用した。

魔法の発動に不安の残るファラも、ヒーリングを受けているため、剣での戦闘力が全回まで戻っている。

彼が見たところによると、メレナティレの騎士たちは全身鎧に依存して戦っているようである。
こちらからの強撃に怯むことなく攻めて来られるのも、頑丈なアーマーの守りがあるからに他ならない。

ファラは戦法を、相手の戦意喪失ではなく、ウェポン・ブレイク、アーマー・ブレイクに切り替えた。
戦闘に立てなくなるまで打つよりも、鎧を壊してしまった方が早く決着できるからだ。

すでに多くは甲板の上に倒れている。
見えているのはあと10人ほど。

ホッシュタスが参戦してこないか、このまま船が出はすまいかと、ファラにも焦りは当然ある。
包囲が解けて、敵が散り散りになると、今度はファラが騎士たちを追い回す形になってきた。

フィヲはファラの機敏な動きに合わせて走り回らなければならない。

ファラは常に、敵とフィヲの間に立つようにしていたが、敵も分断を狙ってきた。

フィヲに向かって振り下ろされる武器は弾かれる。
彼女も気が付けば攻撃型バリアでカウンターを与える。

だがファラとの間に入り込まれると苦しくなった。

騎士二人がフィヲに挟撃を仕掛ける。
ファラは一人に気を取られて、少し離れてしまった。

『すぐに行くわ・・・。』

フィヲは振り向き、まず後ろの敵を突風で飛ばしてマストに打ち当てた。
そして戦闘力を奪い尽くす。

向き直し、邪魔する敵をバリアで少し押圧、珍しくロッドを高く掲げた。
少女の腕の力は強くない。

それでも魔法によって破壊力を付与した一撃は、敵の体にかすることもなく、一気に足元まで振り下ろされ、岩でも落ちてきたかという轟音を立てデッキを叩き割った。

木の板が崩れたので、騎士は下の階へ落ち、その重甲は胴半分まで床板をぶち抜いてしまった。

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.