The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 03 節「悪鬼魔民(あっきまみん)」

第 05 話
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フィヲがパンとシチューを運んで来ると、ザンダが目を覚ました。
キョロキョロと周囲を見回して、やっと自分のいる場所が分かったらしい。

ふぅと息をついて、前夜の戦火に照らし出された恐ろしい光景を思い出す。
体がぶるぶる震えた。

「どこか具合の悪いところはない?」
「ああ、大丈夫だ・・・。」

ドガァの鬣(たてがみ)がいつになく凛々しく思えた。
以前の彼ならば、ドガァに甘える気持ちが強くて、こうした場合よくライオンの首にしがみついて泣き出したものである。

それも今ではロマアヤを背負(しょ)って立とうという身。
感情で動くより先に皆を守らなければと考えるようになってきた。

「・・・ファラくん・・・?」

返事はせず、ゆっくりと寝返りを打って、ファラがザンダの方を向いた。
その顔は笑みをたたえていた。

「・・・もう昼過ぎか・・・!!
・・・よし、食事をいただこう。」

ゆうべはフィヲが倒れるまで力を注ぎ、ザンダも力を与え続け、ドガァの力をももらって、ファラの体の冷却はようやく治まった。
彼らがいなければ戦場で死んでいただろう。

すぐに周辺キャンプからテンギ戦の決着が伝えられた。
ロマアヤ軍は全ての目的を達したのだ。

「どうかしら、ファラくん・・・、食べられる?」
「うん、とってもおいしいよ、フィヲ。」
「ゆっくり、食べてね。」

魔力の回復はフィヲが6割、よく寝たザンダが7割、ドガァは8割といったところか。
ファラの回復は3割程度だった。

老婆ヴェサは食欲がすぐれずに、シチューの具を取り出したスープだけを少し飲んだ。

だが、これも束の間の休息になってしまう。

しばらくすると仲間の部隊が車を用意してくれた。
ファラたちはブイッド港まで運んでもらうことになった。

何やら港の方が騒然としてきたという。

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