The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 02 節「所具(しょぐ)の法性(ほっしょう)」

第 21 話
前へ 戻る 次へ

「つ、冷たい・・・。
体が、冷えて・・・。」

フィヲは慌ててホッシュタスを衝撃球で撃ち飛ばした。
わずかの力だけ残し、ほとんど全ての力を消耗してしまった。

「ファラくん、逃げましょう。
向こうのキャンプまで走って、体力のある誰かに、代戦してもらうしかない・・・!!」

必死にファラの体を魔法で温めようとしたが、ファラの体からは何かの力が奪われる一方で、苦しみを和らげるため、最後の力を振り絞ってヒーリングを起こすので精一杯だった。

ゲホッ、ゲホッ・・・。

テンギは水を吐き出し、苦しそうに咳を繰り返している。
ホッシュタスを足止めするためにテンギを水攻めにしたのに、自力で立て直すとは。

あるいは、5対の手足を持つように、肺もまた5つ、持っているのだろうか。

「フィヲ、先に行っててくれないか。」
「だめよ!
あなたはどうするの!?」
「いい、から、たのむ・・・!!」

また涙が滂沱と溢れてきた。
ファラの体にしがみつくフィヲを、起き上がったテンギが標的にしていた。

槍が振り下ろされる。

ガンッ。

ファラの無刃刀だ。

押し潰されながらも、フィヲを守った。

二人は死力を尽くしてしまったのだ。

もう抗う力は残っていない。

・・・その時である。

ロマアヤのキャンプの方から、獅子の咆哮が鳴り渡ったのだ。
松明(たいまつ)の明かりが見えてきた。

「ああっ、ドガァ・・・、それに、・・・ザンダ・・・!!」

ホッシュタスがザンダに向けて闇の攻撃魔法を放ったが、ザンダはドガァの背から高く飛び上がり、術士に向けて燃え盛る木の枝を投げつけた。

しまった、と思った瞬間に、ホッシュタスはドガァの牙にかかり、強靭な顎(あご)で噛み砕かれようとしたが、その寸前、ザンダが制止したため、地面へ放り出されて転がった。

前へ 戻る 次へ
(c)1999-2024 Katsumasa Kawada.
All Rights Reserved.