The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 02 節「所具(しょぐ)の法性(ほっしょう)」

第 20 話
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ファラはテンギを保護するため、ロニネ(バリア)を張っていたのである。

その球状のロニネは、落雷からテンギを守っても、中は「水」だった。

10本の足、10本の腕で、バタバタともがく巨体が、宙に浮いた水の球体の中にあった。

さすがにファラも息を切らしている。
魔法を維持するために、意識を失わぬよう、必死で力を集め続けた。

フィヲは見ていられなくなって駆け寄り、ファラの体を支えるように抱き止める。

ホッシュタスは、テンギを閉じ込めたロニネを壊そうとしたが、無駄だった。

「ゼハッ・・・、あいつが窒息する前に・・・、水を飲み込んだら、ロニネを外すから・・・、あの魔導師を・・・!!」
「分かった、ファラくん、わたしがついてるからね。」

急速な回復はもうできない。
体力がもつかの勝負であり、邪魔する数人をいかに退け得るかに全てがかかっていた。

「うわあああっっっ・・・!!」

今まで大地から吸い続けていた魔力が、吸い上げる力もなくなったことで、今度は吸われる方へ転じてしまったようだ。

ファラの両腕がバチバチ鳴りながら煙を上げた。

「ヒーリングをやめて!!
わたしがかわりに・・・。」

ホッシュタスが近付いている。
フィヲを狙っている。

ファラはテンギに集中していた力を解放した。

水の球体が徐々に降下して、地面に触れるところまで来た。

と、まさにそれが弾けようという時、テンギが大量の水を吸入したのである。

「おのれ・・・!!」

ホッシュタスが怒りを露わにした。
ほとんど何の感情も出さない男が、激怒した。

フィヲをかばったファラに、宝玉の杖で瞬時に魔法を撃ってきた。

本来の体力ならば避(よ)けられたに違いない。

黒紫色の、電気エネルギーのようなものがファラの体にまとわりついて、力を奪い取っていく・・・。

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