The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 02 節「所具(しょぐ)の法性(ほっしょう)」

第 15 話
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ガトレーンはファラの背後へ駆け寄っていた。
フィヲが道を塞ぐと、ロールウェールが半裸体にも関わらず飛び出した。

妨害は覚悟の上だ。
ガトレーン目掛けて、バリアを張ったまま、フィヲが長いロッドを一薙ぎすると、黒騎士はそれを難なく飛び越した。
ロールウェールが金属の小手でロッドの先を掴(つか)み止めてしまう。

その小手が高熱を帯びて溶け始めたので、女騎士は飛び退いた。
フィヲはなお、ガトレーンを追う。

連撃を受けて後ろへ倒れそうになるテンギに、ファラは更に一撃、顎(あご)を狙って突き上げた。
そして上へ振り抜き、自身は数メートル天を衝いた後、とどめの一撃を叩き込んだ。

兜割りだ。

魔法を帯びた剣でヘルムを真っ二つにされたテンギは、さすがにダウンかと思われた。

しかし、後方から単騎、馬を駆ってくる魔導師があった。

ホッシュタスである。

彼は何らかの魔法を立ち上げて、宝玉(ほうぎょく)の付いた杖で、矢のようにテンギの背中を射った。

すると、天と地とが再び激しく震撼して、テンギの体から異常な衝撃波が、何波にも亘(わた)って放たれた。

最も近くにいたファラが後方へ飛ばされる。

ガトレーンは大地にへばりつく。

フィヲはバリアに守られて、ファラの飛ばされる方へ駆け寄った。

ロールウェールについては、かなり遠くへ吹き飛ばされてしまったらしい。

「ファラくん!」
「フィヲ、気をつけて、この禍々しいエネルギー、ついにテンギが・・・。」
「え・・・!?」

二人が顔を上げると、炎の明かりに逆光となった異形の怪物の姿が、電光に照らされて不気味に浮かび上がっていた。

「キャアアアア・・・!!」

かつてない心痛とショックに、フィヲが思わず悲鳴を上げ、口を押さえた。

「大丈夫、落ち着いて、ぼくが付いている。」

ガトレーンも恐怖に打ち震えていたが、気違い染みた興奮を呈して立ち上がった。

「千手の鬼神テンギよ、受け取れ、安物の剣などあなたには似合わない・・・!!」

シュタッ、とガトレーンの名刀が投げられ、テンギの足元の地面に突き立った。

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