The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 02 節「所具(しょぐ)の法性(ほっしょう)」

第 12 話
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移動速度の上でフィヲには追いつけないと分かったロールウェールは、悔し紛れに別の妨害を考え出した。
ロマアヤの野営を攻撃しようというのである。

「逃げてばかりいないで、剣を交えたらどうなのだ!
お前の仲間がどうなっても知らぬぞ!!」

こう言われて振り払って行くわけにはいかない。
フィヲは滑走をやめ、仕方なくロールウェールの方へ向き直った。

「ハハハッ!!」

今度はロールウェールが林間を逃げていく。
一刻も早くファラの所へ戻りたいのに、フィヲは追う側に回されてしまった。

『ううっ、あの女(ひと)、動ける限り邪魔をするつもりなのね・・・。』

明らかに時間を稼がれているのだ。
体力の削り合いにでも持ち込まれたら相手の思う壺(つぼ)である。

一気に片を付けるしかない。

と、追い始めたフィヲに、ロールウェールは突然、斬りかかって返した。

「ふははっ、死ね、小娘め・・・!!」

ロールウェールの一念、一瞬の生命が、ちょうど死滅の古代魔法グルガを放つ時の魔法使いと同じ、どす黒い色になった。

生命活動の否定、反“LIFE”の一念、及び加害の発動。

それはフィヲが最も敏感に、最も許すべからざるものとして反応する瞬間だった。

「思い知りなさい・・・!!
これがわたしとあなたの力の差よ。」

片刃の鋭いサーベル状の剣、その先端がフィヲに襲いかかる。

対するフィヲの武器は、細長くて軽い、魔法使い専用のロッドだ。

ガツン。

ロールウェールの剣撃が、フィヲのバリアに当たった。
間髪入れずにフィヲは反撃した。

するり、とフィヲのロッドがロールウェールの鎧の上を滑った。
横薙ぎに、腹部から脇腹にかけて、撫でるように流れていった。

この時、ロッドに触れた鎧の箇所が、まるで樹木の皮のように剥がれ落ちてしまった。

「あなたの皮膚には当てていません。
・・・まだ戦いますか?」

すれ違い様に斬り合った形だ。
早くも振り向いているフィヲと、あまりのショックでまだ背を向けたままのロールウェールと。

勝負はあった。
だが戦いをやめる決定的な理由が見つからない。

ならば作ればいいのである。

フィヲは躊躇せず詰め寄り、今度は縦一文字に、兜から背中にかけて、鎧を斬り裂くようにロッドを滑らせた。

防具で守られているべき地肌に、空気が触れた感覚は恐ろしかっただろう。
絶叫が鳴り響き、フィヲのゾー(重力)が発動すると、ロールウェールはもはや身動きもとれなくなった。

そこへ駆け付けたロマアヤの女兵士たちに捕縛されてしまった。

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