The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 01 節「天変地夭(てんぺんちよう)」

第 23 話
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後方から馬に乗ってサザナイアが来た。
ヌダオン=レウォも騎馬である。

馬車を駆って二騎を追うのはリルー、オオン、そしてジシュー、ズンナークだ。

ウズダクのキャプテン・ハムヒルドと、メビカの頭領ヌダオンが、初めて戦場で相見(あいまみ)える。

馬から飛び降りたサザナイアが、ルアーズと駆け寄って抱き合った。

「さあ、ここからが大変よ!
どっちに行く?」

北はセト国の都シャムヒィ。
南はロマアヤとの挟撃で、テンギのいるセトの本隊。

「ねえ、首都を攻めるのは私たち部外者の方がよくないかしら?
元セトの将軍たちに、南の戦場をお願いして・・・。」
「ファラくんがね、テンギだけは、フィヲちゃんと二人で引き受けるから、他の人を巻き込まないでって言うの。
その通りにした方がよさそうだわ。
シャムヒィを攻めるのも、最後はわたしたちだけじゃなく、ロマアヤの軍が押し寄せてくるはず。」

ハムヒルドは冷静に相手を見たが、ヌダオンは目を怒らせ、抜剣して問うた。

「この場でケリをつけようじゃないか!
残った者が新しいワイエンの頭になればいい。」

だが、ハムヒルドは笑みを浮かべて首を振った。

「お頭(かしら)、俺たちがやりあったんじゃあ、手下もみんなやり合いまさあ。
セトの思う壺ですぜ。」
「フン!
ウズダクはどっちへ行くつもりだ。」
「南へ。
早いとこ終わらして、ブイッド港から帰りますんで。」

北へと向かうサザナイア、ルアーズ、アンバス、そしてヌダオンのメビカ船団。
南下するのはコダリヨン、ラゼヌター、メッティワ、リルー、オオン、ジシュー、ズンナークら、元セトの将軍連、更にキャプテン・ハムヒルドとウズダク海軍である。

大セト覇国の領土深く立ち入ってみると、地は枯れ、天も乱れてきた。
火災で燃えたばかりの集落、人馬の死体がそこかしこに目立つようになる。

南下を選んだ面々は、これまでも屍の上を歩いてきたのだ。

一方で北上軍は外征大臣バツベッハを探して捕らえることが最大の目的であり、未だ消えずに燻(くすぶ)っている火炎を鎮めながら、首都の住民らを助けて回っていった。

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