The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 01 節「天変地夭(てんぺんちよう)」

第 11 話
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メビカの首都も、ウズダクやセトがロマアヤに攻められ、追い詰められていく様子を興味深く見つめていた。
ロマアヤに味方すれば、ワイエン列島の覇者となれるかもしれない。

しかし逆に加担して敗れれば滅ぼされる恐れもある。

頭領のヌダオン=レウォは慎重だった。
つい半年前は消えゆく運命と思われたロマアヤが、なぜ急に盛り返してきたか。

仲間連れで修行の旅を続けているという女剣士サザナイアの話は聞いていた。
その当人が、ロマアヤの使者として会いに来たのだ。

ウズダクとの抗争にしても、海賊だった昔のように、がむしゃらに覇を競えばいいというものではない。
むしろサザナイアがあの船長に語ったことは民衆が希求する未来に近かった。

その同じ話をヌダオンも聞かされたのである。

彼は最初の妻を病気で亡くし、二人目の妻も体が弱く早世、今は三人目の妻がいる。
子供は合わせて10人になり、男の子もいれば女の子もいた。

メビカの船乗りになる子供については自分と同じ道だけにさほど心配していない。
が、10人もいればいろいろな子がいた。

父にも母にも似ず学者になりたいという子がいる。
リザブーグ王国へ行って技師になった者もいる。
海賊の末裔らしく父と戦い、追放された者もいた。

また、到底理解できない中に、魔法使いの素養を持つ子もいた。

親の苦手な学問の道で大成しそうな子ほど可愛かったし、その反面、何も分かってやることはできなかった。

商人の息子に嫁いだ娘もいる。
荒くれ者の妻となる子のことはよく分かるが、父と縁遠い世界に嫁ぐ子のことはやはり心配だった。

横面を拳で殴って追い出した、自分とよく似た息子のことも、今では後悔している。

サザナイアに言われたことが思い出された。

『国境がないことは不安ですか?
隣の国の人が信じられませんか?
それなら未来のために、じっと目を見て語り合いましょう。
こちらの心を伝えてみれば、同じ人間ですから、通じ合えないことはありません。
私が戦っているものは、その人間らしい心を曇らせ、狂わせてしまう、権力という名の魔性、嫉妬という名の毒なのです。』

旅人にばかり任せておいていいことではない。
自分も町へ下りて行って、皆の気持ちを聞いてみようか。
彼はそう思い始めていた。

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