The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 01 節「天変地夭(てんぺんちよう)」

第 10 話
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翌日、リルーとオオンはズンナークたちに先立って首都ズマワービに入った。
彼女たちは元上役のズンナークや格下の同僚ジシューを待つこともできたのだが、あえて別行動にしたのである。

リルーはズンナーク側近の右将、オオンは左将だった。
それが今ではどう変わっていたか。

二人は人物としてズンナークを尊敬していたのではない。
セト国の砦を任された大将の片腕となって働いていたに過ぎないのだ。

同じ女性の剣士としてサザナイアに惹かれているオオンは言う。

「ズンナークは確かに武人として手強いが、人の上に立てる器ではなかった。
セトの軍組織は戦功を重んじている。
対するロマアヤの軍は武勇と部下育成能力を重んずる。
この差は、時間が経つほどに大きい。」
「ああ。
セトは軍紀を恐れて従属する組織。
生活のためであって、民の幸福を考えていない。
あれでは自国すら救えない。」
「ロマアヤは優れた者に付いて心を学び、育てる組織だな。
私はサザナイアの剣に込められた心に打たれたのだ。」
「そう、わたしは小娘と侮ってかかったフィヲに全く歯が立たなかった。
ズンナークめ、あの自尊心の強さで、相手がルビレム殿だったことは幸いだな。」

二人して大声で笑った。
大の大人が、少年や少女に敗れなくて面目が保たれたと言うのである。

そうしていると、街路の向こうからサザナイアが呼んで、手を振ってくれた。

「おお、助太刀いたす!」

三人はいったん宿に赴いた。
サザナイアはすでに荷物をまとめていて、一週間ほどになる宿泊の精算を済ませに行く。

そして道々話し合った結果として、相部屋にしようということになったので、新しい部屋を借りて案内してもらった。

通された所は宿で一番広い部屋だ。
四人いても生活できるようになっている。

男たちが来たら、二人部屋でも、一人部屋を二つでも、好きにさせておけばいいなどと言ってまた笑った。

なかなか手きびしいのでサザナイアは少しフォローに回る。

「彼らはLIFE戦術についてまだまだだけど、これまでの人生で、善かったことも悪かったことも、みんな世界のために生かしていけるわ。
敵だった側に付こうと、よく決心したと思う。
そこを称えましょう。
あなたたちが来たから彼らもついて来たのよ。
戸惑っていたら声をかけてあげてね。
強い女性でないと、か弱い乙女の言うことじゃ、聞かないわ。」

彼女はこう言って舌を見せ、微笑んだ。

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