The story of "LIFE"

第 09 章「無尽(むじん)」
第 01 節「天変地夭(てんぺんちよう)」

第 02 話
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ルアーズの拳と靴に込められたアンバスのロニネは攻撃型であるとともに防御力にも優れていた。
彼女が攻撃を繰り出すと、円形ロニネは拳が切った空気のように、自在に形状を変えるのである。

「これは軽い・・・!
私の腕には空気の抵抗もないみたい。」
「ロニネが押しのけた空気は、パンチの威力で相手に当たる。
トゥウィフの代わりに風圧で攻められるよ。」
「もしもトゥウィフが来た時は?」
「ロニネは武具に込めているから、そっちが消されない限り存続できる。
ただしナックルや靴が破壊されて外れた場合、ロニネも一緒に落ちる。
素手になったらバリアはないものと思って、気を付けてくれ。」
「背中のバリアを球状にして纏(まと)うようなことは?」
「今の僕にはできない。
ザンダ君はそれに近いことをやっていたね。
かわりに、どれかアクセサリにでも、球状ロニネを込めておくか。
丸腰になった場合、発動させて使えばいい。」

拳で戦うルアーズは手指や腕につけるアクセサリが使えない。
動作も激しいため、鎖状のものも、イヤリングの類も邪魔になる。

「じゃあ、ベルトだね。
使う時の判断は迷わず、そして切り札と思って、発動させたらまず戦線を切り抜けることを優先してくれ。」
「わかった、ありがとう。」

杖からの魔法メインで戦うアンバスの方は相当緊張していた。
ルアーズは魔法が切れても肉弾戦で応じられる。
しかしアンバスは、魔力が切れれば非戦闘員に等しくなってしまう。

「体力だけは鍛えておいてあげたかったわ。
高くて安全な場所で、全軍の援護でもしてくれればいいから。」

このようなことはルアーズからもサザナイアからも日常的に言われてきたことだ。
学者肌の彼はそれでいいと考えていた。

だがファラの戦い方を見てからは、自分にも接近戦の力があったらどんなにいいだろうと思うようになっていた。

「僕も、少しずつ力をつけていくよ。
・・・ちょうどいいライバルでもいればいいんだけどなあ、みんな強すぎるから。」

ウズダク海軍の兵士たちは、対立するメビカ船団に比べれば好戦的でなく、一部の職業軍人が若者を雇い入れて組織化したような性質を帯びている。
その点がセトの兵士たちの境遇と似ていた。

大セト覇国との戦争に勝てないため従属的な海軍としての条約を結んでいる。
しかし島国独特の民族性を備えていて、敵味方・自国他国の意識が強かった。

ルアーズが万全の態勢で上陸し、先頭に立って大声で口上を述べると、ウズダク側は殺気立つというよりも、ピタリと軍事行動を踏み止(とど)まってしまった。

彼女の声は、人間の野蛮性を退け、奥底に眠る高度な精神性に呼びかける響きを持っていた。

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