The story of "LIFE"

第 08 章「星辰(せいしん)」
第 03 節「千手(せんじゅ)の鬼神」

第 14 話
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『ぼくのこと、信頼して打ってくれてるのは嬉しいんだけど、これ最後まで受けてたら戦えなくなってしまう・・・。
一撃だけ、入れて退けてみよう。』

普通の相手なら彼女の一太刀を浴びただけで戦意など粉々に砕かれてしまう。
それをファラは剣と鎧で防ぎ続けているのだ。

また、身を軽くする装備によって打撃の回数が上がっていることも確かである。

「ファラくんはね~、なんというか安心感があって、打ち易いのよ。
今日はサザナイアの打ち合い練習だもの。
彼女が遠慮するようでは不足だわ。
ただ、だからといって、ちょっと力が入り過ぎてるようにも見える。」

ルアーズもファラとの打ち合いでは遠慮がなかった。
それは武に生きる者どうし、正しい付き合い方なのだ。

「わーん、ファラくーん!
早く決着しなさいよ~!!」

フィヲは見ていられなくなってきた。
放っておけば二人の間に飛び込みかねない。

『もう20人も倒したくらいだろう。
数秒間でそれだけ戦闘不能にすれば、必ずひと呼吸、整えるタイミングが来るはず。』

ファラはそこを逃さなかった。
サザナイアが連続攻撃の最後を打ち込んで間合いを空けようとしたところへ、追って間を詰め、一太刀、そしてもう一太刀、叩き込んだのである。

受けた彼女の手に力が入りきらなかった。
更に迂闊(うかつ)にも、二発目で剣が飛ばされた。

「きゃっ・・・。」

本気で打ち合いをしていた証拠である。
サザナイアの思考は、戦場で敵に不覚を取ってしまったと錯覚していて、死を覚悟していた。

「ほら、目を開けて。
スローモーションです。
こういう場合、負けることを決め込む前に、身一つでかわすなり、肉弾戦で受けて立つなりした方がいいんです。
そうだサザナイアさん、拳は?」
「はあっ、はあっ・・・。
わたし、肉弾戦はダメなの。
・・・骨が砕けてしまいそうで。」
「それなら鈍器なり短剣なり、すぐ取り出せる所に隠し持つのがいいでしょう。
かなり刀身の長い剣での戦法ですから、短い武器に慣れておくことで、奥ゆきが増すはずです。」
「ええ・・・。
あとは持久力ね。
あなたのように打たれ強い相手と当たったら、どんどん体力を消耗してしまうみたいで。」
「威力は魔法で補えます。
相手の防御力を上回る打撃を与えられれば、より短時間で勝負が着きますから。
そのためにも魔法を身につけていってください。」

模擬戦の後、サザナイアにはファラから「ゾーの本」、フィヲから「クネネフの本」が贈られ、皆で昼食に戻っていった。

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