The story of "LIFE"

第 08 章「星辰(せいしん)」
第 03 節「千手(せんじゅ)の鬼神」

第 11 話
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「私はこれまで、敵が凶悪であればあるほど、戦闘で多少の死傷者が出るのはやむを得ないと思っていました。
これからは相手を救いきる戦闘を心がけます。」
「素晴らしい!
そのためにこそ力が要るんです。
邪悪な者に戦意を失くさせるまでは交戦を余儀なくされます。
害意に屈服してはいけませんし、絶対に通さないこと、万策尽きさせることが、味方を守ることになります。
ぼくもそうですが、アンバスさん、サザナイアさんは今後、普通の戦闘員ではありません。
家族を守るために国家を守ろうとする、民衆出身の、兵士たちの生命を預かっているからです。」

どちらかというと個人戦を得意とし、広範な防衛の術(すべ)を持たないサザナイアは質問した。

「ファラさん。
戦場にあって、自分の身は自分で守ることが前提だと思うのだけれど、もしも味方がピンチなら、自分を犠牲にして戦うべきなのかしら・・・。」

ファラの脳裏にはサザナイアの戦い方が焼き付いている。
それをイメージしながら、彼は話し始めた。

「いいえ、あなたも大切な人です。
一人も犠牲にはしません。
では、応用編に行きましょう。」

ここでファラは、彼のことをまっすぐに見て相槌(あいづち)をうちながら聞いていたフィヲを指名した。
彼女は何を答えていいか分からず戸惑ったが、ファラが丁寧に筋道を立ててくれた。

「たとえばフィヲ、ロマアヤの兵を預かって、君一人、全軍の先頭に立たなければならないとする。
それで合戦になったら、どうやって戦う?」
「えっ、・・・そうね、相手の武器を全部、使えなくするかしら。
捕縛だけ、兵士の皆さんにお願いして・・・。」
「フィヲならできるね。
ぼくだったら先制攻撃で圧倒します。
そして絶対に負けません。
じゃあサザナイアさんは・・・?」

真面目に答えようとして考えているところがサザナイアの魅力でもある。
やがて言葉を発した。

「やっぱり、わたしもファラさんのようにするかしら。
剣の力で戦意を削(そ)いで、声の力で心に訴えかける。」
「全て味方に変える戦法ですね。
この間サザナイアさんの戦いを拝見して感じたのは、線の美しさです。
敵方でも見とれてしまうことでしょう。
戦うお姿に心を打つものがあります。
そうだもしも、もっと自在に動き回れたら、戦術の幅が広がりませんか?」
「敵陣を抜けるように!?」
「装備品に魔法を込めさせていただきますよ。
新しい戦法を編み出してください。」
「ファラさん、特訓に付き合ってくれますか?」

これにはファラもドキッとした。
サザナイアは心も清らかで美しいが、個人的に接するには心が動揺してしまうほど容姿も優れている。

フィヲは多少ふくれていた。

「あらファラくん。
自由に飛んだり駆けたりできるのはあなただけなんだから、ちゃんとお付き合いしなさいよ。」

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