The story of "LIFE"

第 08 章「星辰(せいしん)」
第 02 節「烈日衝天(れつじつしょうてん)」

第 22 話
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ザンダに叩かれたセト兵らが次々に戦意を失くしてロマアヤへ降り、倒れた仲間を助け起こすという光景が広がっている。

午後も日の傾く頃、南東から心地よい風が吹いてきて、雲の流れは早まった。

デッデムを大将とする兵1000が、ブイッド港以南の会戦で最後のセト軍の師団となる。

ファラは、フィヲやルアーズの仲間たちに昼食を勧めたが、誰も摂ろうとしない。
引き連れてきた新旧ロマアヤ兵1000を、半分ずつに分けて休ませ、食事にさせた。
これにより、ルビレムを前半の兵らとともに休ませることができた。

リダルオからブイッド方面へ攻め上がる行軍で、こちらへ差し向けられたセト兵1000に対し、ファラ率いる兵500(後半に休むメンバー)は、ほとんど楽勝となった。

その戦いもケリが付く頃、先に休んだルビレムと兵士らが行軍を再開、一気に攻め上がって行ったのである。

斯(か)くして、デッデムとセトの精兵1000を迎え討つ軍勢は、最初ザンダとムゾールら500ほどであったが、ルビレムの加勢により倍増した。

デッデムの部下2名も女性の剣士で、先にロマアヤ軍と会戦したラゼヌター将軍は、セトの軍服と装備を身に付けたロマアヤ兵(降伏した者たち)を睨(ね)めつけて罵声を浴びせる。

「お前たち、どこの国の禄によってこれまでつないできたか、忘れたとは言わせぬぞ。
一時の勢いに乗じて寝返った罪、死を以って思い知るがいい・・・!!」

確かに彼女の冷酷一徹な剣閃は、勇猛な男たちをも恐れさせるものがあった。

戦士ベリオングはラゼヌターを引き受けようとしたが、ここは旧セト軍の誰かに任せるのがいいと考えた。
そこで、ザンダとドガァに屈服させられたコダリヨンの名を呼んだ。

彼は、つい先まで同僚であったラゼヌターに相当の負い目を感じもした。
だがロマアヤの「魔導騎士」――すなわちドガァにまたがるザンダ――と直接対戦した際、心に生じた善の息吹ともいうべき新しい感激に衝き動かされて言い返していた。

「よく聞けラゼヌターよ、敵を殺戮して全滅させ、そして手にした覇権は、一体誰のものだ?
元来、イデーリアはニサイェバ独裁の天地ではない。
セト国民の所有物でもない。
にもかかわらず、傲慢な侵略戦争を全世界にまで広げようとしてきたのが我々なのだ!
故郷を思い出せラゼヌター、民の嘆き悲しみが分からぬはずはない。
軍に蹂躙されてきたセトの民は、侵略戦争を憎んでいるのだぞ。」
「黙れ、弱き犬め!
その戦争も、ロマアヤの滅亡によって終結するではないか!」

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