The story of "LIFE"

第 08 章「星辰(せいしん)」
第 02 節「烈日衝天(れつじつしょうてん)」

第 21 話
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軍港ブイッドから南下してきたセトの本隊1500は、陸軍の最高権力者デッデムに率いられて、これまでにない攻勢を示していた。
負傷者を差し引いて500余りの、ザンダやムゾールのロマアヤ軍ではとても手に負えない。

戦車で攻め上がっていた戦士ベリオング、戦士ポートルも、味方の劣勢を見て引き返してきた。

「ようやくザンダ様とお呼びできます!
我々がいる限り、千だろうが万だろうが、粉砕してご覧に入れましょう。」
「おおお、力が漲ってくる・・・!!
みなしごの私を、実子のようにかわいがってくださったゼオヌール公と、全く同じ温もりをあなたから感じます。」

ポートルは幾重にも取り囲んでいる敵兵らに、先公の仇とばかり、恐ろしい形相を露わにした。
彼は鋼鉄の大玉のついた鎖をぶんぶん振り回し、重厚なハルバード状のアーマーブレイカーを炸裂させていった。

遠巻きにポートルを狙う射撃部隊、銃撃部隊に対して、他を頼む素振りもない。

「人の生命を何だと思っているんだ!
貴様ら、覚えておれ、弾を撃った回数だけ、その身に鉄槌が下るであろう・・・!!」

事実、見る間に攻撃が当たった。
魔法によって守られているロマアヤの鎧に、弓矢が砕け散るたびに、弾丸が撃ちつけられるたびに、倍する威力の鉄球が盾を斬り裂き鎧を損壊させていく。

自棄(やけ)になって飛び込む者は、アーマーブレイカーがその冑を割った。
ポートルは敵兵の素顔を見ると、決まって言った。

「あいにく頭蓋骨は割らない主義でな。
一度は死んだ人生じゃないか。
俺はいつでもチャンスをやるが、今また問おう、何のために剣を握る?」

ベリオングも凄まじかった。
彼は両手剣を片手で扱う他は、ロマアヤの戦士として標準的な防具だけ身につけている。

しかし他の戦士たちと異なるのは、筋力からくる機動性だ。
目の前の敵を倒すコツを心得ているように、向いては倒し、押しては倒し、返しては倒した。

髪を逆立てて気を吐く様子は、本物のライオンであるドガァに劣らない。
その上、まさに飛び掛ろうという瞬間、雄叫びを発するのである。

敵兵は離れた所から撃って仕留めようなどとは思いもよらない。
失敗すれば討たれる、いやそれ以前に、ベリオングが来たらもう勝ち目はない、武器を捨てる方が賢明であり、他の行動は全く無益だと思わせる、そんな風格を備えた男だった。

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