第 08 章「星辰(せいしん)」
第 02 節「烈日衝天(れつじつしょうてん)」
木でできた長い杖を持っていたフィヲだが、この出陣の装備変えで、金属でできた細く長い戦杖を携えてきた。
彼女の腕の力でもよく振れて、魔法を起こすのに適している。
その上、ロマアヤの武器防具には、戦闘時に使用者の力を増幅する効果のあるものが多かった。
ファラが右へ左へ駆け回って剣を振るうので、後ろにぴったり付いていることはできない。
上層の兵になるほどセト国への服従心が強く、性質も粗暴で、少しの攻撃には怯まないのだ。
後方からのロマアヤ兵は400を越えるまでに膨れ上がっていた。
フィヲは自分に何ができるかと思って佇んでいたが、ファラは攻守の魔法を機敏に使い分けて戦っているし、よかれと思って魔法を撃っても、却(かえ)って邪魔になりそうでもある。
しばらくファラの戦い方を見ながら、自分にもあんな力があったらと思った。
強度のある戦杖も、猛将の剣撃を受ければ曲がってしまうだろう。
この時後方へ下がれば、負傷者の手当てなどもできたかもしれない。
しかしフィヲは、ファラの戦い方を知り、どのような激しい戦闘にあっても、先の2会戦の時のように力になりたい。
ロニネを張り、少し離れて見ていると、敵兵の群れが襲ってきた。
フィヲは慌てることなく、クネネフで撃退した。
そして、危険でも戦場に飛び込んでいこうと決断したのである。
「ファラくんっ、私も・・・!!」
「よしっ、戦って!!」
フィヲは、ファラに反対されることを覚悟していた。
それが、ここにいてもいいと言ってくれたのだ。
このことが彼女にとって最大の力となった。
いつも皆に心配されて、後方に置かれたり、守られて生きてきた。
しかし、それは仲間たちの大きな誤算だったと言える。
フィヲはLIFE戦術の戦場に立つ時、最もその力を発揮した。