The story of "LIFE"

第 08 章「星辰(せいしん)」
第 02 節「烈日衝天(れつじつしょうてん)」

第 05 話
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昨日、ファラに倒された将軍ジシューが戦場に姿を現した。
兵200を率いている。

あれだけ威勢のよかった猛将も、怖気づいてか全軍の中央辺りに構えていた。

ファラは彼の顔を見るなり、怒号を発した。

「臆病にして卑怯なる弱将が見える。
お前は名をジシューと言うのか。
我を恐れて後方に構えるか。
武に生きる者ならば進み出て剣を交えよ!」

隊列が乱れ、敵軍は真ん中で割れたように、左右へ開いた。
ジシューが昨日とは違う馬で駆けてくる。

その時フィヲは、ファラに何を言われるでもなく、右の方へ駆け出した。
敵の左群へ突っ込むつもりらしい。

少女が左手から杖を振り翳すと、その動きに沿って風が旋回を見せ、兵士らを後方へ吹き散らしてしまう。

これはファラに好機を作った。
敵兵が飛ばされて開いた空間に、ジシュー目掛けて突進したファラは、フィヲが巨大な旋風を起こしたのになぞらえ、剣による回転強撃を空に向かって繰り出した。

またしてもジシューは吹き上げられ、自軍の右側へ転落する。

再びフィヲがファラの後ろに付いた。
壊乱した敵の右群をドミノのようにトゥウィフで薙(な)ぎ払って、遠くから押し返してくる左群に向けても魔法を放った。

足元を垂直に突き上げる、単発のバーティカル・シェイク(突振)である。
転倒で総勢がスタン状態になると、後方からのロマアヤ軍の上昇もあって、セト国・第2波も全て士気を失ってしまった。

敵兵一人一人を軍国の害悪から救い出し、目覚めさせる役目は改心した元セト兵たちに任せてあったが、ファラもまた、聞こえ渡る凛とした声で言い放った。

「将軍ジシュー以下、セト国の軍事侵略を真に人間の歩む道と信ずる者は立て!!」

力破れた軍人たちは、地面に張り付いたまま項垂(うなだ)れている。

「ではなぜ、今の今まで侵略に加担し続けたのか?」

泣き声が洩れ始めると、悔恨の響きは辺り一面を覆った。

だがファラはそんなことでは許さない。

「泣けばいいと思うのか!?
速やかに過ちを悔い改めよ!!
立って祖国の誤謬(ごびゅう)を救え!!」

リダルオ南征衝まであと少し。
ファラは勝ち誇るでもなく、武門の子らに対して哀れむ気持ちを抑え込みながら、彼らがロマアヤに加勢するまでは心を鬼にしなければなるまいと思って、毅然と進路を北東へ取った。

あとは後続の兵に任せておけばよいのだ。

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