The story of "LIFE"

第 08 章「星辰(せいしん)」
第 02 節「烈日衝天(れつじつしょうてん)」

第 03 話
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ブイッド港に駐屯中の陸軍大将デッデムが、兵3000を率いて南下中という知らせがもたらされた。

ロマアヤの最前線である旧公国府は、北にデッデムの大軍、北東にリダルオ南征衝を見据えて戦わねばならない。

最も勢いのあるファラと120の兵こそ北へ攻め上るべきだと誰もが考えた。
しかしファラは飽くまでリダルオのある北東へ進路を取ると言う。

そしてザンダと150の兵が北上することになった。

昨日の会戦で、ザンダは50の兵を預かり、負傷者を除くと40名だけが戦力として残っていた。
一方ファラは、同じく50の兵を預かって敵兵200を味方とし、敵の負傷者100をも味方に招き入れて今日の再編成を見たのである。

ファラ軍120、ザンダ軍150という編成にあたり、ファラはザンダの軍に旧来のロマアヤ兵の全てを投入していた。
兵士らはすでに、ザンダこそゼオヌール公の嫡子と知らされているのだ。

LIFE騎士団の鎧を破損してしまったファラには、騎士ルビレムなど、ロマアヤの指揮官が着る防具が与えられた。
ザンダも同じものを欲していたが、一回り小さいことを理由に、別の武具が用意された。

この、ザンダに与えられた装備こそ、ゼオヌール公が着用していた「魔導騎士」の鎧をベースにしたものだった。

「へへん、魔法使いに剣と鎧っていうのもいいもんだ。」
「よく似合っているよ。
ドガァも、ね。」

ライオンのドガァにも防具が着せられていた。
頭部への攻撃を防ぐ兜、肩から胴、腰までの鎖帷子。
両腕、両脚にもアームレットが装着されて、手足には兵士が手にはめる金属の手袋が与えられている。

「ザンダもドガァも、慣れるまでの辛抱だね。
防具に頼っちゃダメだよ。」
「たしかに乗り心地はサラの方がいいけどさ。
・・・ほらっ、見てよこの剣!
おれの魔力を強めてくれる感じがする。」

フィヲもこれまでに比べると重装になった。
ロマアヤの女性魔法使いが身につける布装備もあるにはあるが、前線へ出るにはあまりに危険である。
初めて身につけた軽金属の防具だが、最も動きやすいもの、として選ばれた一式だ。

「ルアーズさんに言われてトレーニングしてきた甲斐があるわ。
今日からこれを着て走るんだから!」

ルビレムの部下にも女性の兵士がいる。
彼女たちやフィヲが着た鎧兜は、男性用のそれと異なり、スマートで美しいラインを描いていた。

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