The story of "LIFE"

第 08 章「星辰(せいしん)」
第 01 節「萌黎(ほうれい)の朝(あした)」

第 04 話
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軍事基地を分散させたのは、セトの大将デッデムの策であった。

大陸南方の狭隘(きょうあい)な土地を通らなければロマアヤの民が暮らす集落を攻めることができない。
一箇所の基地からは、攻め方も一通りになり、様々な手で出撃阻止されてきた。

それを複数の基地からの攻撃にすればどうか。
少ないロマアヤの部隊を、更に細分化することが可能となる。

ゼオヌール公は、特にシェブロン博士と出会ってから勇敢な首長となった。
自ら戦杖を取り、魔法を駆使して戦うその姿は民の憧れであり、誇りでもあった。
彼が最初に戴冠した「魔導騎士」という称号も、その後、功績ある兵士らに与えられ、全軍の士気は大いに高まっていた。

また、美しいリュエンナ夫人は魔法使いとしてよく夫を助けた。

敵の進軍を、分断、また分断する中、ある時、ゼオヌール公の元へ早馬があって、別の方面で作戦中の一部隊が退却に失敗、追われながら敗走しているという知らせが入った。

後方の守備は厚くしてある。
それでも彼は、妻との約束があって、士卒の危機には真っ先に駆けつけると決めていた。

この動きも、敵側に予測されていたのである。

侵略への阻止行動だけでなく、敵の小部隊に対する和平交渉も、忍耐強く続けてきた。

セトの拠点へ赴いたロマアヤの使者は言う。

「絶対に侵略はしない。」
「我らは民を害する軍国思想と兵器だけを憎む。」
「兵を収めて一つのイデーリアを築いていこう。」

人間ならば、他者を殺傷して自らの利益を得るだけが道であろうか。

ところが残念なことに、侵略戦争という狂気に取り憑かれた軍人たちは皆、立身出世の戦績を上げることだけに目が眩んでおり、誠心一筋に戦争終結を呼びかけられたところで、誰一人としてそれに耳を貸す者などなかったのである。

彼らの思想は次のように語っていた。

『敵は生活を保証してくれない。
出世を約束するものではない。
どうせ大陸が一つになるなら、侵略によって軍人としての地位を固めておくほうがはるかに有利である。』

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