第 07 章「展転(てんでん)」
第 03 節「古都の防塁(ぼうるい)」
悪魔結社マーラの本拠地であるザベラムが、ケプカスの逃亡と、防衛を任されていた奇術師ヨンドの降伏によって開城となると、以南は全てレボーヌ=ソォラの手に戻り、残る脅威はほぼ進軍中の術士たちだけとなった。
ただし結界で閉ざされた城塞テビマワに少数の修復技師たちがいて、現地で合流されかねないといった状況である。
LIFE騎士団のウタック率いる第三部隊は勇敢に戦い、マーラ全軍の10分の1ほどを戦闘不能にさせた。
それでも、体力には限りがある。
敵の数は後方から次々に膨れ上がって、結局、ワダイルの爆薬を用いても決定的な打撃には至らなかった。
いったん攻撃を中止して、倒れた術士たちを捕縛するレヂョウら第九部隊とデグランに場を委ねると、ウタックは部下を率いて戦線を上昇。
砂埃を立てながら続々と攻め寄せる黒い馬車群の進路を逸らせていった。
レンジャー・ピスムの仕掛けた罠は効果的だったが、崩れた前団に後続が巻き込まれるのを見ると、中団あたりからは進路を変えるようになった。
作戦通り、ワダイルの援護もあった。
ハッボスの第十部隊の斬り込みも成功した。
しかし、まだまだ数が足りないのだ。
まっすぐアミュ=ロヴァへ向かわず、テビマワへ雪崩れ込んだ術士の数は思いのほか多かったのである。
ザベラムを半ば捨ててきている彼らにしてみれば、どれほどの犠牲を払おうと、テビマワを取り戻しておきたかっただろう。
LIFE騎士団はマーラのテビマワ入城をどうしても阻みたい戦局に立って、大軍を相手に、1部隊7名という精鋭だけでは到底、戦力不足と言わざるを得ない。
そこへ・・・。
東のザベラムの方から、少年ウィロが操るタフツァの馬車を先頭に、モアブルグの巡査隊が援軍に現れたのだ。
少し間をあけて、カーサ=ゴ=スーダの守護にあたっていたレンガーの第二部隊、ヌザルムの第六部隊、ラッツピンの第七部隊も続く。
更に南東からはモアブルグの連隊がテビマワを指して攻めあがってきた。