The story of "LIFE"

第 07 章「展転(てんでん)」
第 03 節「古都の防塁(ぼうるい)」

第 19 話
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魔法銃ですでに4人の動きを封じたワーツは、活発に戦いを繰り広げている仲間のリブンが、遠巻きに狙われていると気付いた。

「いけないっ、この弾ではっ・・・。」

残った魔法弾のうち、一種類は「パティモヌ(水)」を込めたもので、激戦での使い道が思い付かなかったため、まだ3つもあった。

しかし、グルガの発動が仲間のところへ到達しては手遅れである。

敵の術士の口元目掛けて引き金を引く。

この時、彼は魔法ではなく銃器を使ったが、その一瞬の心は次のように定まっていた。

『絶対に止めてやる・・・!!』

パーンと音を立てて、球状の水が、まさに詠唱を遂げようとした術士の顔に命中、勢いよくはじけ飛んだ。
他の術士たちの視線が集まる。

ワーツはこの隙を外さない。

更に一発、もう一発と放ち、粘りのある水でかなりの時間を稼いだ。

「そうそう、これをお見舞いしたかったんだ。
・・・おおい、テヴァーン!」

やり手の忍者に合図した彼は、今、顔を拭って視界の悪い術士2人が直線に並ぶところまで走り、銃口を燃え上がらせた。

放たれたオレンジ色の弾は、肉眼ではとても見えない速さで標的を捕らえた。
だが忍者テヴァーンには弾の動きが見えるらしい。

攻撃型ロニネが発動すると、敵の術士を3人、あっという間に飲み込んだ。
そのバリアの中、有刺煙をもくもくとあげながら、2回、3回、光を伴う爆発が起こった。

外へは振動が伝わるだけで、音は聞こえない。

術士たちは両手で耳を押えたが、全身への強いショックは、当分立ち直れないほどだ。
その上、目からは涙が、体表には麻疹が起こって、神経はガクガクと震え続けていた。

怖気づく周囲の術士たちは、忍者テヴァーンの素早い強撃を食らって、次々と縄にかけられている。

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