第 07 章「展転(てんでん)」
第 03 節「古都の防塁(ぼうるい)」
城塞ザベラムでは、奇術師ヨンド率いる20人の術士と、タフツァら5人の戦闘になっていた。
御者の少年ウィロは約束通り、後方から皆の戦い方を見ている。
当然ながら、ここには魔法を無効にする装備が届いていない。
巡査隊のリブンは、術士2人を相手に組み合っていた。
「恐そうな身なりをしているわりに、仲間どうし助け合っているんだな。」
「貴様らっ・・・、生きては帰さんぞ。
くらえっ!」
リブンの警棒が一人に掛かりきりになったので、もう一人が魔法を唱えた。
「へへっ、甘いな。
踏んできた場数が違うぜ・・・!!」
リブンは組み合っていた相手を蹴飛ばすと、警棒の刀身を平行に叩きつけることで、詠唱をストップさせてしまった。
すぐに蹴飛ばされたほうが反撃してくる。
「わわっ、間に合わねえ。」
暗黒色の発動が起こった。
これに飲み込まれたら最後である。
リブンはスライディングで斜めに避けて、術士の横に飛び込んでいた。
すかさず腰に膝蹴りを入れると、今魔法を放った術士は前に倒れて起き上がれなくなった。
「悪いな、少しでも罪を軽減してやろうと思ってさ。」
もう一人はこちらを狙いながら躊躇している。
「どっちでも好きにしろ。
人殺しだけが生き方じゃない。」
今度はグルガの発動とリブンの攻撃が交差した。
まっすぐに飛んでくるダークミストを飛び越え、長い警棒を地面に立てて、リブンの両足から、ドロップキックが術士の横面(よこづら)へ炸裂していた。