The story of "LIFE"

第 07 章「展転(てんでん)」
第 03 節「古都の防塁(ぼうるい)」

第 17 話
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第十部隊長ハッボスが進み出る。

「我が隊が仕掛ける番です。
ただ、少し時間稼ぎができればいいのですが・・・。」

レンジャーのピスムが手を挙げた。

「ウタックさんたちには少し前方で戦っていただき、私はその少しテビマワ寄りに、小型の『罠』を作っておきます。
この『濡れた干草』をしばったものが目印。
更にテビマワへ寄って、別の目印を置きます。
石ころが3段に積んであったら、その半径1メートルは踏まないでください。
罠が発動した地点に目印は残りませんので。」
「それならもう半分、削れるでしょう。
混乱したところを大刀部隊が攻めます。
・・・レヂョウは引き返してこれるか?」
「我が部隊が捕縛だけしておくから、・・・身動きできない術士たちを車に乗せて送致する役目を、どなたか買っていただけませんか。」

体格のいい格闘パフォーマーのデグランが声を上げる。

「お任せください。
両腕に一人ずつ、抱えられますから。」
「ありがたい・・・!!
では、ハッボスが押えた術士も捕らえに行こう。」

ここで爆薬使いのワダイルが進言した。

「罠で混乱しているところへ、自分が追い討ちをかけます。
ハッボスさんは硝煙が消えるくらいまで待っていてください。」
「なにっ、ワダイル殿、俺と合流しないのか!?」

作戦会議中ながら笑いが広がった。
続けてウタックが話し始める。

「では、先鋒を務める第三部隊は、馬車で回り込んでテビマワへ行こう。
最初と最後を締め括らせてもらうぞ。」

2本の短剣で戦う舞踏剣士のベーミラは、ウタックを頼もしく思っているらしい。

「大軍の中へ分け入って、私も剣を振るいます。
でも心配しないで。
どんな混乱も通り抜けるわ。
私が縫(ぬ)った道に、多くの術士が倒れることでしょう。」
「それは助かる!
あなたはどのように身を守るのですか?」
「剣の舞は魔法の舞。
攻防一体ですから。」

彼女の戦い方を知っているサウォーヌの3人が声を出して笑った。

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