The story of "LIFE"

第 07 章「展転(てんでん)」
第 03 節「古都の防塁(ぼうるい)」

第 09 話
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御者の少年は名前を「ウィロ」といった。

朝、部屋で食事を済ませて巡査隊本部に向かいながら、タフツァは彼を、どこへ行くにも同席させようと思った。

司令室にはゴーツの元に4人の戦士が集まっていた。
背が高くスマートな戦士リブン、魔法銃を使うワーツ、投擲武器の扱いに秀でたノッグル、様々な魔法を駆使して戦う忍者テヴァーンである。

そこにウィロも加わった。

「彼は馬術に通じ、国を守る力と、魔法の知識を求めています。
皆さんとの作戦の中で、私が責任を持って育てますのでよろしくお願いします。」

少年はペコリと頭を下げた。
ゴーツが声をかける。

「巡査隊は、きみと同じように、町や国や、世界のために志を持って集った戦士たちの集まりだよ。
きっと立派な戦士になれる。
今回は馬車での移動にきみの力を借りるが、馬術はすでに大きな力だ。
誰でも騎兵になれるわけじゃないからね。」

ウィロの目が輝く。
寡黙なワーツとテヴァーンは声を出さないが、ニコニコと頷いていた。

人懐っこいノッグルは、ブーメランを投げる手振りをしながら言った。

「魔法は、その瞬間の術者の思いや願いを乗せて、様々な現象を起こす。
俺の武器も同じさ。
『助けなきゃ!』、と思って放った一擲(いってき)が、目の前の一人を救うんだ。
タフツァさんが責任を持つなんて言ってるけど、俺も君がピンチの時は助けるぜ。」

頬を高潮させてはにかむ少年の純粋な心が、若い戦士たちを明るくする。
後輩とは未来の希望であるからだ。

リブンは装備を気にしてくれた。

「おれたちの標準装備は、この長い『警棒』と、小さい『三角盾』なんだが、棒はちょっと短い方がいいな・・・。
これ持ってると、一人前の戦士とみなされて、攻撃されてもいけないや。
盾はきみには大きめでちょうどいいだろう。」

巡査隊は青いジャケットとズボンを着用している。
戦士ゴーツは、今回は御者としての役目になるからと、茶色の「つなぎ」と緑系の「帽子」を新たに用意してくれた。

「非戦闘員であることを敵に分からせることも重要だ。
どんな戦役も、その陰の力には必ず非戦闘員がいる。
その使命をしっかりと果たし終えることが、きみにとって更なる前進になるよ。」

武器はタフツァが選んだ。
樫の木でできた、短めの杖である。

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