The story of "LIFE"

第 07 章「展転(てんでん)」
第 03 節「古都の防塁(ぼうるい)」

第 07 話
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レボーヌ=ソォラを「教育都市国」にしようと話し合った会議の後、午前中に馬車でアミュ=ロヴァを発ったタフツァは、10時間かかってモアブルグに到着した。

巡査隊員は誰でもタフツァのことを知っている。
皆、集まってきて彼を迎えると、戦士ゴーツの所へ通してくれた。

「ようこそ、あなたはこの町の恩人です。
そして、よくぞアミュ=ロヴァの権威を倒されました。
今はレボーヌ=ソォラ全体の恩人です。」
「いいえ、これからが大変になります。
同志であるLIFE騎士団は、味方だけでなく敵からも犠牲を出さずに戦うと言う。
私も、全く同じ考えです。
悪魔結社マーラの拠点が再びザベラムへ移り、アミュ=ロヴァ以上にこのモアブルグが危険となるでしょう。
どうか皆さんのお力を貸してください・・・。」

本部の屋内にいた隊員たちは、持ち場も投げ出してゴーツの指令室に来ている。
彼らはタフツァが深く頭を下げて要請するのに応えて、威勢よく「おお!」と声をそろえた。

「巡査隊の皆さんも、どうか最後の勝利までご無事に、新しいレボーヌ=ソォラを、全員で迎えましょう!!」

もう一度、歓呼の交じった声が返ってきた。

そのまま司令室で食事をと勧められたが、仮にも巡査隊はミッションの最中である。
有難くも辞退して、いったん馬車に戻ることにした。

隊員の一人が彼に付いて温かい食事を運んでくれている。
今回ずっと世話になる御者の分も用意された。

遅めの夕飯が済むと、司令室に戻って作戦会議である。

まず、ザベラムが火災の全焼後、どうやって盛り返してきたかが語られた。

「内衛士団・第三隊が焼け跡の調査中に全滅するという事件があってから、ザベラム調査は我々モアブルグの巡査隊の役目に回されました。
彼らが生命を落とした場所は、焼け残った地下施設で、その遺骸は無残に外へ捨てられていたのです。」

巡査隊はアミュ=ロヴァ軍人たちの遺体の収容と搬送から始めなければならなかった。
敵との遭遇に備えて警戒態勢を敷き、馬車でアミュ=ロヴァとの区間を何往復もしたのだ。

そうしている間に、地下施設への入口は閉ざされてしまった。
やがて魔法の防衛壁が現れると、次第に一帯は立ち入り不可の状態となって、エリアは広げられていった。

これを本国へ報告した後、彼らはザベラムの城塞建築を交代で監視し続けてきたのである。

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