The story of "LIFE"

第 07 章「展転(てんでん)」
第 02 節「魔天女ヒユル」

第 21 話
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「おい、そこの獣。
次の手を見せてみろ。」

ニサーヤが神を自負することは他の2体の悪魔の比ではない。
全身をガクガクと震わせながら、嫉妬心にも似た、どす黒い炎が燃え上がり、その目は完全に正気を失っていた。

両手をヱイユの方へ向けた詠唱が完結したらしかったが、これは不発となり、現象は何も起こらない。
方陣で封じられた「グルガ」を主とする発動だったのだろう。

ニサーヤが慌てて戸惑いを見せるよりも一瞬早く、地面を蹴り離したヱイユの残像は直線を描き、白貂(しろテン)の眉間へ一撃、鋭い突きを炸裂させた。

妖刀ヤマラージを引き抜くと血が噴き出し、これを浴びまいとしてヱイユはロニネでかわす。
更に10メートルほど浮上して一気に強襲、脳天から背中の方へ回った彼の剣撃は、天からの雷電を伴って悪魔の全身を斬り貫(ぬ)いた。

するとニサーヤは、傷を負った小動物の姿になって素早く退避し、ピンク色の光で線を描きながらヱイユの後方に至った。
彼が振り向く間もなく悪魔の姿が現出し、詠唱するも、再び不発である。

ヱイユは剣での連撃を次々に叩き込んで、カコラシューユ=ニサーヤを後退させた。

『このまま押せば方陣の外に出てしまう・・・。
引き戻してもいいが、奴にそれと悟られるのはまずい。』

いよいよ止(とど)めの魔法を撃たなくてはならない。
ただし、合成生物は生命体である。

生命を絶つことはできない。
先の2体のように、魔獣に捕食させるならば、殺さず生かすことができる。

ところがニサーヤの魔力は絶大であり、魔獣の方が死んでしまうだろう。

『仕方がない。
削りに削って、方陣を出たら・・・!!』

一撃一撃に魔力を込め、爆発させた。
すなわち、火炎、凍結、風圧、地裂、電撃、高熱、真空、軽重、磁力・・・。

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