The story of "LIFE"

第 07 章「展転(てんでん)」
第 02 節「魔天女ヒユル」

第 12 話
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目を覚ましてから更に二日間、ヱイユは少女リーシャの手当てを受けた。

彼女はまだ10歳前後であり、家には母親や祖母がいるらしかった。
しかし一度も姿を現さず、3度の食事とその間に一度くらい、リーシャが一人で部屋に来てくれた。

「本当に助かるよ、ありがとう。
俺はそろそろ行こうと思う。
何かお返しができればいいが・・・。」

最初、魔法使いムヴィアだと思っていた相手だが、親しく接していると、むしろ別人として話す方が適切なように思われてきたのだった。

「ううん、おにいちゃんは、世界中の人のために戦ってくれているんだもの。
わたしのために戦ってくれているのと一緒だわ。」

目を閉じて、少女の心を感じれば、それはやはりヱイユにとって最愛の母親的存在である、ムヴィアその人に違いなかった。
優しい話し声を聞いていると、どんなに抑えようとしても、熱いものが込み上げてきてしまう。

「きみは、大きくなったら、何になりたいんだい?」
「ふふっ、まだ分からないわ。」
「魔法使いじゃないのかい?」
「うん、それは決めてあるんだ。」
「そうだな、・・・この村は安全かもしれないが、世界は危険に満ちている。
お母さんを大事に、それから体も強く鍛えておくといい。」

少女ははにかんで笑みながら、顔を赤らめた。

「あの、・・・ファラさんという人に、『髪飾り』を渡したの。
もしも、会うことがあったら、・・・『大事にしてね』と伝えてください・・・。」

リーシャははにかみ顔のままだったが、ヱイユは彼女を直視できなかった。
顔をそむけるようにして、喉を詰まらせながら、ただ、「ああ」と言った。

少女に伴われて、ここへ来てから初めて外に出ると、一人の老婆が杖をついて、歩み寄ってきた。

「この村は見てのとおり女ばかりで、普段は男を入れない。
だが縁(ゆかり)あって訪れる者は拒まない。
それと、お前の力を見込んで、話がある。
少しわしの家まで来なさい。」

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