The story of "LIFE"

第 07 章「展転(てんでん)」
第 02 節「魔天女ヒユル」

第 06 話
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激しい揺れを伴って、怪人ラモーは更に二回りほど大きな巨体へ変化した。

今度は長い曲毛(くせげ)を振り乱した、筋肉質な人型モンスターである。

石でできた棍棒が小さく見える。
ラモーはそれを隊員に投げつけた。

部隊の総勢で破壊しようとしていた石塊である。

直撃は免れたものの、地面に当たって転がった棍棒を受け、一人が肩を負傷した。

「大丈夫か!?
お前はさがっていてくれ・・・!!」

ウタックが部下をかばっている。
そこへ、アミュ=ロヴァ兵を逃がした第十部隊が合流してきた。

「どれほどの魔力の持ち主か知らんが、あれほどの巨体に力が漲っているとは思えない。
早く消耗させて、本来の姿に戻さなくては。」

ハッボスが部下に指示している。
第三部隊の作戦に習った、時間差攻撃を仕掛けるという。

はじめの一人が脛(すね)の辺りを狙う。
かわされたり、攻撃が飛んできたならば、それをかわして切り抜ける。

次の一人は、前の一人が引き出した相手の動作に対して、隙を突いた攻撃を与える。

ラモーの踵(かかと)に一撃が入った。
悲鳴をあげて足を持ち上げ、手で押えている。

三人目がジャンプして、反対の足の膝下に一撃を加えた。
ラモーは前へ倒れて両手を着いている。

ウタックの部隊も攻撃に加わった。
前腕への打撃は息も衝かせぬほどで、屈みこんだ頭部へも、強打が入った。

ラモーは蜂の群れに襲われた者のように、わけも分からず隊員たちを手で払った。

それでも、待機している隊員は、動作の隙を狙って撃ち込んでいった。

巨人の絶叫が響き渡り、無理矢理起き上がったラモーは、地面を踏み散らして騎士たちを蹴飛ばし、まずは一人を捕まえてやろうと、両手で襲い掛かってきた。

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