The story of "LIFE"

第 07 章「展転(てんでん)」
第 01 節「業障(ごうしょう)の苦(く)」

第 16 話
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闇の都市ザベラム方面へ向かう姿を確認した後、しばらく見失っていた悪魔使いフィフノスだが、ヱイユは上空からの眺めで、ついに彼を探し当てた。

マーラの術士は皆、黒いローブを身に纏(まと)っていて、見分けがつきにくい。

そうした中、フィフノスは角のある獣の頭蓋骨だろうか、頭部を覆っているため、顔は見えなくても、よく目立った。

また、彼はあまり集団で行動しない。
最強の悪魔「カコラシューユ=ニサーヤ」の化身とされる「白いイタチ」を連れて歩くのも、現状、彼だけだった。

小さいイタチは、チョロチョロと忙しそうに付き従っていた。

人間の姿に戻っていたヱイユが、フィフノスの背後へ降り立とうとしたその時、イタチが振り向き、ヱイユと目が合った。

ピカリと電光が走り、轟く雷鳴は暗い真昼の空を震わした。

ニサーヤに睨まれたヱイユは、まだ一歩を踏み出せずにいる。

百戦錬磨の彼が、小動物の威嚇を恐れるというのか。

ゆっくりと振り向くフィフノスは、頭に被(かぶ)った頭蓋骨の隙間から、笑っているように見えた。

ふいにニサーヤが宙へ飛び上がり、狐火のような青白い曲線を描く。

いよいよ本性を現すかと、さすがのヱイユも冷や汗が出るのを感じた。

しかし、ニサーヤはフィフノスの手の中へと消えてしまい、かわりに、ごつごつとした太い杖が飛んできた。

ぶん、ぶんと、フィフノスは杖を振り回す。
ヱイユは、身でかわす以外のすべを知らない者のように、ひたすら攻撃をよけた。

ようやく彼の手に、変幻自在の妖刀「ヤマラージ」の弧が浮かび、バサッ、バサッと、素振りをすると、攻勢に転じていった。

当然、動きはヱイユの方が素早い。

フィフノスの杖は、弾かれ、弾かれ、後退するばかりで、二人は次第にザベラムの方へと流れていった。

『くそっ、何が狙いだ?
この先にはLIFEの野営があるはず・・・。』

悪魔結社マーラの中で、最も危険な術士であるフィフノスを、LIFE騎士団やアミュ=ロヴァの同志たちに近付けない目的で動いてきたのだ。

一対一ならば、勝たないまでも、負けることはないだろう。
ヱイユは、フィフノスとの戦闘に、他者を巻き込むことだけを恐れているのだ。

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