第 07 章「展転(てんでん)」
第 01 節「業障(ごうしょう)の苦(く)」
城塞テビマワから逃げ出した黒ローブの術士たちとLIFE騎士団が、一番最初に接触したのは、闇の都市ザベラムへ通じる道でのことだった。
「見て、こっちに向かって来るみたい・・・!!」
魔法剣士ヤエが仲間のベーミラに知らせた。
「持ち場に着きましょう。」
まず、サウォーヌのメンバー5人が、あらかじめ計測しておいた半径300メートルほどもある「正の五芒星」の各立ち位置に散って、充填を始めた。
逆方向魔法を使うマーラの術士たちに対しては、これだけでも大きな抑制効果となる。
竜神に追いつかれはしないかと、恐怖によってパニック状態で奔(はし)る術士たちの、後方から馬で急(せ)き立てるのが3名。
レヂョウの第九・捕縛部隊である。
更に、ヤエたちが形成している正の方陣エリアへ、30人ほどの黒ローブが踏み入った所で、岩陰に隠れていた部隊長レヂョウと残りの部下3名が、勢いよく襲い掛かった。
第九部隊は、武器で攻撃を加えるのではない。
両手、両足を、縄で縛り、身動きを封じてしまうのである。
マーラの彼らにとって「非魔法場」も同然の、この空間にあって、いとも簡単に全員が捕縛されてしまった。
「他にも仲間は?」
「知るか!!」
「早く解け!」
「どうなるか分かってるんだろうな!?」
情報を得ることはできなかったが、ひとまず、荷台に敷いた正の方陣で魔法が使えない状態の30人の術士たちを乗せ、大型の馬車を1台、発たせることにした。
この場にあと1台、そして中継地点のウタック・ハッボス野営地にも2台は用意してある。
到着まで片道3時間かかった道のりだが、途中に待機している第一・斥候庶務部隊の一員の所まで、部下の一人に早馬で飛ばしてもらい、折り返させる。
馬車を一台使って術士30人をアミュ=ロヴァへ送ったことを知らせるのだ。
2時間もすれば、ウタックらの所から替えの馬車が来るだろう。
その分が本営から補充されるようになっている。