The story of "LIFE"

第 06 章「使命」
第 03 節「総力戦」

第 19 話
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古都アミュ=ロヴァは新生の喜びに満ち溢れていた。

十の部隊を率いて入国したスヰフォスは、町並みもほとんど以前のままであるのに、一体何がここまでの変化をもたらしたのか、目を見張った。

他の者は、部隊長にしても隊員たちにしても、これが初めて訪れるレボーヌ=ソォラの光景となった。

滞在先の旧リザブーグ大使館へ向かう道々、LIFE騎士団が来ると知って集まっていた市民の口に伝えられて、作戦はこれからだというのに、まるで凱旋軍の帰還のように盛大に歓迎された。

日が暮れて、隊員たちの食事が終わる頃、大使館にはヱイユも来ていた。
スヰフォスと10人の部隊長に彼も加わり、作戦会議が始まる。

司令官からねぎらいの言葉があった。

「長旅、ご苦労だった。
今夜は皆をよく休ませてやってくれ。
明日の朝、部隊ごとに作戦を発表すること。」

隊長たちは声を揃えて応じた。

続いてヱイユから、この日の午前中に法皇が衛士たちを引き連れてテビマワに出征したことが語られた。

「歩兵が主だからな、夜のうちに奇襲するのでなければ、どこかで朝を待つだろう。
俺は様子を見に行く。
あなた方は?」
「法皇め、なんと無謀な蛮行を・・・!!
自分一人で行くならまだしも。
可哀想なのは士卒とその家族だ。」

助けに行くべきか、スヰフォスも頭を悩ませているらしい。

「総帥の言われた通り、今テビマワに飛び込んで交戦すれば、必ず死傷者が出る。
法皇は兵士が戦場で死のうが、当たり前だと思っているのさ。
だがLIFE騎士団は違う。
絶対に隊員を死なすなよ。
敵方にも犠牲を出さずに戦うんだ。」

死を恐れて戦いを避けるのではない。
死に急ぐようなやり方で、この世の使命を放棄することを互いに戒め合っているのである。

ナズテインが口を開いた。

「内衛士団の侵攻で、マーラの勢力が分散する危険はないでしょうか?」
「そうだな、国中にはびこられては確かに困る。
ただ、すでにマーラはザベラムにも拠点を再建しているんだ。
一箇所でケリをつけるなら、どちらか先に落として追い払うようになる。」
「部隊は10、戦闘員は70名。
あまり大規模な作戦をとることはできない。
テビマワを片付け、それからザベラムか・・・。」
「俺は首領フィフノスが操る悪魔たちを牽制しておく。
ソマも自由の身になったから、役立ててやってほしい。
あとアミュ=ロヴァが敵対勢力に探りを入れさせる目的で使ってきた『サウォーヌ』という組織がある。
彼ら5人が手伝ってくれるだろう。
みんな武器も魔法も使えるし、LIFEの一員と思ってくれ。」
「なんと、心強い!!
明日にでもお会いできないだろうか。」
「ああ、ソマがここへ連れて来るようにしよう。
午前8時に。」

ここでヱイユは会議の席を立ち、ヤエの家に泊めてもらっているソマの元へ向かった。
話をつけた後、タフツァの独房に立ち寄ってから、単独テビマワへ接近しなければならない。

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