第 06 章「使命」
第 03 節「総力戦」
口々に、「はい」「きっとやってみせます」と声が返ってきた。
「これから起きる戦役は、“LIFE”が勝つか、“生命”に背く人々に支配されるか、重要な局面になる。
過去の忌わしい「封印」、敵対勢力の粛清といった暗黒の歴史を越えて、万人が“LIFE”に目覚める時代を、共に作っていこうじゃないか!!」
すると、そこに横たわっていた悪魔イル=デュゴスは姿を消し、詠唱から解放されたヤエたちも答えた。
「必ず、そうします。」
「未来に希望を持っていきます。」
「“LIFE”を学び合います。」
「軍隊を根本から見直します。」
「子供にも孫にも、“LIFE”を語り伝えます。」
・・・・・・
古都アミュ=ロヴァに、ようやく春が訪れた。
気が付くと、街の方から次々に集っては“LIFE”による自他の変革を誓って帰っていく市民の頭上に、そして肩に、美しい花が降り注いで桃色に染めていった。
“LIFE”が世界に広まる時、天が喜んで降らせるとされる、「マンダラカ」の樹花である。
テビマワ侵攻に出かけた者を除いて、老若男女、あらゆる人がここに集った。
内衛士団の家族の者たちは、出征中の夫や父や兄のためにも心に“LIFE”を誓った。
キラキラと輝くような青空に虹色の花びらが舞って、夢のような世界が広がっていた。
その一番最後、瞳を光らせ頬を紅潮させて広場に戻ってきたのがソマだった。
「ヤエさん、ヱイユくんッ・・・。
これが・・・、これが先生の言われた、“LIFE”なのねッ・・・!!」
満面の笑顔の上に溢れ出した涙は飛び交う七色の花々のように美しかった。
ヤエが抱き止めて自分も涙を流し、ヱイユは彼らしくもなく胸が高鳴って感涙をこらえていた。
ソマが入れられていた右側の塔から――囚人を見回る役の女性の番兵が駆けてきて、今朝までの非礼を詫び、アミュ=ロヴァは“LIFE”による建国を誓ったのだから、権力者が何と言おうとあなたは自由だと言って手を取った。