The story of "LIFE"

第 06 章「使命」
第 03 節「総力戦」

第 15 話
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ヱイユは、たまたま彼の元に戻っていた灰竜アーダを呼び出した。
ここのところアーダは、小竜リールとの橋渡し役として、シェブロンの流刑地ルング=ダ=エフサ付近へ行き来しながら、物を届けたり、手紙を預かったりして暮らしている。

「お前がいてくれて助かったよ。
まさか大衆の前で金翅鳥(ガルーダ)や竜神の姿にはなれないからな。
・・・ちょっと代わってくれ。」

ヱイユがこの年23歳になるから、アーダも同じくらいの年齢である。
いつものように、ヱイユの意志を受けて、聞き心地のよい、若いドラゴンの声を響かせた。

「あ、かわいいっ!」
「竜だ、竜!」
「肌艶(つや)がきれいだわね。」
「おーい!!」

そして、ヱイユが使っていたのと同様の「魔法禁術」と「ゾー(重力)」を発動させると、辺りから歓声がわき上がった。
悪魔イル=デュゴスは魔法力を見せていないが、万が一、これだけの人だかりで何らかの魔法でも使われたら取り返しがつかなくなる。

ヱイユは悪魔使いフィフノスとの応戦や竜王ゲルエンジ=ニルとの戦闘を振り返りながら、ついに相手の全ての魔法発動を封じる「魔封陣」の描き方を発見したのである。

魔法陣は文字を円形に並べるのが基本であるから、この描き方は、ある程度の魔法使いであれば、見て記憶するだけでも修得できてしまう。
味方の者に教えて使わせるのはいいとして、敵方の者に知られて悪用されたら大変である。

タフツァのように、フェイントをかけて魔法を空振りさせ、宙に描かれた魔法陣や文字までも見ただけで記憶してしまうような使い手が、敵の中にいないとも限らない。

悪魔結社マーラの危険な術士たちを、殺傷することなく捕らえて、「非魔法場」の牢獄に入れ、服役させるのが正しいとタフツァは主張していた。

ところが「非魔法場」を形成して相手の発動を封じる場合、その空間では、こちらの魔法も無効となる。

したがって、今ヱイユが「魔法禁術」と「ゾー」を併用しているやり方は、「非魔法場」によるものではない。

自分より強い相手には使えない方法だが、全16種類の発動を想定して、それらの魔法エネルギーを全て操り返し、こちらの魔力で制御して、大地へ還すなり、自分が吸収するなり、四方へ散らしてしまうなり、戦況に合わせてどうにでもできる。

つまりヱイユは、魔法使いファラよりも先に全ての魔法を身につけたのである。
いずれも、格上を相手に、生きるか死ぬかの戦場で必要に迫られて使い込んできただけに、威力も手練れ具合も並外れていた。

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