The story of "LIFE"

第 06 章「使命」
第 03 節「総力戦」

第 13 話
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どうにか宮殿内の救出が終わった。
逃げ遅れた人々をヤエたちが下で受け止めてくれたのだ。

悪魔を抑え込んでいるヱイユと、2階に残ったソマだけが建物の中にいる。

「ソマさん!
あとは闘神ヱイユに任せて、あなたも逃げてください!」
「いいえ、私は戦います。
ヱイユくんも、生身の人間だもの。」
「それなら、私達が一緒に戦うのも、許してくれますね?」

ヤエと4人の仲間は、魔物の力を封じる「方陣」を作ろうか、と聞いてきた。

「そうね・・・。
ヱイユくん、地下で戦うの!?」
「いやっ、吹き抜けの天井まで引き上げる。
あれを破って、広場で戦ったほうがいい。」

彼の意思を受けて、ヤエたちも広場へ移動することにした。
身勝手な貴族たちの手で封鎖された1階の扉も開け放たれ、ソマはやっと外へ出ることができた。

1000年もの間、蓄え続けた古都アミュ=ロヴァの魔性エネルギーは、押し込められて、もはや爆発寸前の所まできている。

「よしっ、みんな退避できたか。
じゃあ、引っ張るから、瓦礫に当たるなよ!!」

3階建てのオフサーヤ宮殿は、地上階が吹き抜けになっており、建物のてっぺんにあたる半球部分には、権力の象徴である初代法皇の肖像が描かれていた。

悪魔イル=デュゴスの身動きを抑え込んでいたヱイユの「ゾー(重力)」が解放されると、1階の床は盛り上がり、亀裂が走って、砕けた石材はガラガラと音を立てて地下へ落ちていった。

ついに魔性の権化(ごんげ)が姿を現す。

「なにっ!?
実体があるのかっ・・・!!」

それは赤茶色の肌をした「鬼神」であり、コウモリのような翼と腕が一体化していた。
人型をしているが、頭蓋骨を剥(む)き出したような脳天には一本の角が生えている。

ヱイユはイル=デュゴスの下顎に手をかけ、相手の身を軽くして、角のある頭部で天井を打ち破った。

法皇の肖像画が砕けて、宮殿の上空に姿を見せた恐ろしい化け物の声は、大気を、更には街々を震撼させた。

すると、ヱイユが離れたイル=デュゴスの本体に、宮殿の地下の方から、真っ赤な竜神が凄まじい勢いで立ち昇ってきて、悪魔の身を捕らえ、垂直方向へ、空(そら)まで一気に喰い千切ってしまった。

腹部を咬み潰されるほどの痛手を受け、そのまま宮殿へ向かって落下しようとするイル=デュゴスを、ヱイユは再び上空まで吹き飛ばして竜巻で翻弄し、広場の石畳目掛けて真っ逆さまに叩き落とした。

「さあ、どう料理してくれよう。」
「ヱイユくんっ、みんなで、大地に還しましょう。」
「こいつは、今は実体があるように見えるが、『生命体』では決してない。
次いつ出てくるかも分からない。
完全に滅ぼしておかなければ、この国は救われないぞ。」

イル=デュゴスは国家悪を象徴する怪物である。
それを第三者が倒したところで、果たして国は変わっていくのだろうか。

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