第 06 章「使命」
第 03 節「総力戦」
外は我先にと飛び降りた貴族たちが折り重なり、怪我人が続出している。
階段を下りたソマが人々を広場の安全な場所まで誘導しようとすると、出口の扉が押されて閉まってきた。
すぐに彼らを街まで避難させなければ危険である。
扉に体を挟まれながら、傷を負ってソマは叫んだ。
「広場も安全ではありません!
市街の、できるだけ遠くまで逃げていなさい!!」
ドカンと、力いっぱい閉められる扉に押し返されて、ソマは宮殿の内側へ閉じ込められてしまった。
「ソマっ、お前も逃げてろっ!!」
「待って、ヱイユくん!
まだ2階に、逃げようとしている人たちがいるみたい・・・!!」
彼女は右腕と肩に負傷していた。
外への扉は逃げた人々に封鎖されている。
階段を上ってみると、そこには踏み倒されて動けなくなった人がかなりいた。
逃げ遅れて捨てられた老親や、子供とその親なども残っていた。
これほどの惨事に、助け合う者が皆無であるとは。
ソマは一人一人を助け起こし、怪物を恐がる者にはまだ大丈夫だと言って、窓の方へ導いた。
「誰か!
まだ2階に残された人がいるんです!
そっちで受け止めてください!」
体の動く者はすでに街へ逃げ去っており、飛び降りる際にケガした家族を連れ出そうと必死になっている様子だが、誰も宮殿に取り残された者まで助けようとはしなかった。
子供は泣き叫び、親たちはソマを罵った。
「あなたたち、何か魔法は?」
年老いた魔法使いは自分が逃げ延びるだけの力もなかった。
「ほら、あそこなら、土になっていて、降りられそうよ。
母親が子供を助けなさい!」
大人たちは尻込みして、それはできないと言う。
「じゃあ、私が先に下りるわ。
受け止めてあげるから。」
すると、街の方から声が聞こえた。
「ソマさん!
助けにきましたっ!!」
それは魔法剣士ヤエで、サウォーヌの仲間を呼び、駆けつけてきたところだった。