第 06 章「使命」
第 03 節「総力戦」
「俺が入ったことを騒いでいるのではないぜ、たぶん。
一度さ、上から外に出て、下へ回るから、お前、番兵を呼んでやってくれ。」
ソマは頷いた。
ヱイユは飛翔して、塔内の空洞を伝い、最上階から外に出ていった。
「なにか、あったんですかー!?」
下へも上へも、声がこだましていった。
「すまないが、力を、借りられないか!」
番兵の応答があった。
「私にできることなら、なんでもー!」
扉のカギ束を鳴らしながら、2階から女の番兵が駆け上がってくる。
ヱイユはきちんと扉を閉めて行っていた。
「収監中のあなたに、こんな頼みをして・・・。
恐れ入るが、魔法使いだったな?」
「ええ。
何か、緊急の事態ですか?」
血相を変えて息を切らす番兵の様子から察しがつく。
「宮殿の地下に、巨大な魔物が現れたのだ・・・!!」
「大変!
それを倒せばいいのね!?」
あまりの恐怖に体が動かなくなってしまったらしく、番兵は頷くばかりで、声が出なかった。
「心配しないで。
必ず、みなさんを守りますから。」
ヱイユと一緒に戦闘に立てる。
ソマは、相手がどんな怪物であろうと、恐れは感じていなかった。
それよりもむしろ、LIFEの誠意を示す機会がようやく来たと、大いに力を漲らせて駆け下りていった。
「ははっ、恐いもの見たさか?」
「ちがうもの!
ねえ、どっちにいるの?」
「俺がついているからって、あまり気を抜くんじゃないぞ。」
本殿の下に、3層の厚い地下階がある。
何がいるかは分からないが、そこへ入っていくより他ないだろう。