The story of "LIFE"

第 06 章「使命」
第 02 節「春暁(しゅんぎょう)」

第 14 話
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そのノイが、師匠シェブロンに同行して流罪されると知ったとき、入門して日の浅い彼らは憤慨し、あと一歩で暴動を起こしかけたのだ。

スヰフォスの言うことも聞けないほど、新生騎士たちは怒った。

「リザブーグに残ったひょろひょろの騎士どもなど、何になろう!」
「メレナティレの機械が束になってかかってきても、我々は負けはしないぞ!」
「抗議しようではないか!
聞き入れられなければ、剣に訴えるのみ!」

ノイは博士に同行すると決めた時から、仲間たちが騒ぐことを心配していた。

もしも武力で立ち上がりでもしたら大変だ。
自分の口で、きちんと話をしておこうと思った。

サウスウエストタウンのトレーニング施設に、いつもより遅く顔を出したノイは、王宮へ攻め込もうと殺気立つ彼らを制し、聞いてほしいことがあると言って皆の前に立った。

「すでに聞き及んでいるようだが、私はシェブロン先生をお守りするために、どこまでもお供をすると決めた。
騎士として最高の誉れではないか。」

この言葉に、まず古い同僚たちが胸をうたれたようだ。

すでに魔法使いファラは、博士の指示で、ヱイユに導かれて王国を後にしている。

「私も、君たちも、同じようにリザブーグを愛する。
ここに家族のいる者も多い。
LIFEを守ると言っても、この国を守ることに他ならない。
だから絶対に暴動など起こすな。
国家の敵となるな。
幸い、レボーヌ=ソォラからの派兵要請に、リザブーグ議会は我々LIFE騎士団の派遣という形で応えようとしている。
またとないチャンスじゃないか。
大いにLIFEの戦い方を示し、先生の正義を証明してもらいたいのだ・・・。」

若い騎士たちも涙を拭いながら、LIFEに生き抜くことを誓った。

「戦乱はレボーヌ=ソォラだけで起きていることではない。
ワイエン列島でも、イデーリア大陸でも、武力による抑圧や戦火に怯える民衆がいる。
先生は、ファラくんと他の弟子で合流して、ロマアヤ公国へ向かうようにと、手を打ってくださっている。
君たちには、レボーヌ=ソォラの問題が解決したら、次はメレナティレの侵略に歯止めをかけてもらいたい。」
「分かったぜ、ノイよ。
すぐに放免にしてやるからな、待ってろよ。」
「どんな戦闘になろうと、私達はLIFEの騎士団として戦います!」
「またみんなでここに集い合おうじゃないか!」

これが流罪前の最後となったノイは、日に日に力をつけてきている元同僚や若手騎士たちから、しきりに打ち合いの相手をしてくれと頼まれた。
彼は、LIFE騎士団の発展をうれしく思い、大いに剣を振るった。

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