The story of "LIFE"

第 06 章「使命」
第 01 節「断崖と絶壁」

第 18 話
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「人間の“生命”には、元々全部の魔法が具(そな)わっているんだ。
それが魔法となって表れるか、性格や他の技術となって表れるかは、過去からの『因縁』と言って、どのような因を積んできたか、どのような縁に遭って、“生命”がどう作用してきたか、これに関係している。
シェブロン先生の説に曰(いわ)く、一生という生命活動は有限だが、生と死を繰り返すものが“生命”であって、“生命”の流転自体は、永遠に続いていく。」
「じゃあ、『グルガ』の末裔、マーラの人々は・・・?」
「長い流転の中で、悪縁に遭って、他者の“生命”に手をかけた者の“一念”は、生命活動の否定、すなわち『グルガ』となる。
奴らの『グルガ』は、人間も含めた動物が生きるための捕食とは異なる。
共生を否定した排他的殺戮、すなわち捕食が共生のための食物連鎖を前提とするのに対して、生命の連鎖自体を否定する一念によって起こる。」

タフツァは驚愕した。
全身が震えるようだった。
それは感動ともいえるものだ。

「お前が今戦っている相手は、マーラとか、アミュ=ロヴァ軍とか、特定の相手じゃないよな。
排他的殺戮、生命の連鎖自体を否定する一念、人間の生命に具わった、『グルガ』という、“一凶”を退治するために戦っているんだ。」

“LIFE”とは、生命の尊厳性への信仰を意味する。
それと同時に、生命には退治するべき“一凶”があると、ヱイユは言う。

「“一凶”とは何か。
反“LIFE”のことだ。
忘れるな、“生命の尊厳性”に背く人間の一念こそ、諸悪の根源だ。
“生命”への理解に対する暗さ、“無明(むみょう)”とも言う。
更に、権力者の“無明”は、“魔性”となって表れる。
では、それとどう戦う?」
「博士がされてきたように、全ての人に“LIFE”を教える・・・。」
「さすがだな、俺はこれからもお前をリーダーと呼ぶよ。
・・・アミュ=ロヴァに“魔性”が入ってきている。
第二隊にも愚かな『増長慢(ぞうじょうまん)』がいたな。
ギュバというのか。
あいつを諫(いさ)めて“LIFE”を貫いたお前は正しい。
マーラが持つ排他性と、アミュ=ロヴァ軍が持つ排他性、すなわち『グルガ』と『グルガ』がぶつかり合って殺戮が起こった。
だが、あの場で俺たちは止めてやることができなかった。」
「やはり、その罪は免れない。
僕は、どうすればよかったんだろうか・・・。」
「殺意と殺意が渦巻いて、殺し合う様相(すがた)を俺達は見た。
あれこそが、人間の生命に具わった“地獄”の相(そう)。
原因は『グルガ』という一念。
この世に地獄を現出する一念が『グルガ』と言える。
俺達にできること、それは、この“生命”が続く限り、“LIFE”を伝え抜く闘争に尽きる。」

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