The story of "LIFE"

第 06 章「使命」
第 01 節「断崖と絶壁」

第 13 話
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平和なミルゼオ国に生まれ育ったサザナイアは、村のスヰフォス学師に師事して剣の腕を磨くとともに、世界には戦乱の続く国があると知った。

ミルゼオには大学がない代わり、小学校と中学校があって、希望する家の子は勉強を教わって育つ。
そして読み書きや数や科学、世界中の歴史などを学びながら、更なる学問を志す生徒は大学へ行く道があることを教えられた。

同級生には、アミュ=ロヴァの高等学校・大学に進む者もいた。
西の大国リザブーグでは、剣術を中心とした武術の教育が為(な)されており、技師になる者には専門の学校が用意されているらしい。

文武の師を得て、世界を知り、剣の腕前に秀でた彼女は、中学校を出た後、村でおとなしく暮らす性質(たち)ではなかった。

村の子供たちが各地へ旅立つように、自分もどうしても剣の修行がしたいと両親に話した。

娘の旅とあって当然反対されたが、毎月手紙を書くこと、年に一度は帰郷することを約束し、スヰフォス学師の推薦もあって、遊学を兼ね村を出ることが許されたのである。

こうして学師の弟子仲間の一団に加わって、リザブーグへ剣の修行に赴く機会を得たのだ。
16歳になる年のことだった。

王国拳法の使い手として領内で修行していたルアーズは、初めて目にするサザナイアの、王国騎士流でない剣術に驚き、刺激も受けた。
そして動きが速く優雅なこと、少ない太刀数で勝負を決してしまうこと、魔法の勉強をしていて日に日に力をつけていくことにも惹かれていった。

出会った当初、二人はライバルであったが、次第にその欠点を補い合い高め合う存在として、修行の上でどうしても必要な関係を築くまでになる。

リザブーグで一年間の修行をしてビオムに帰ったサザナイアは、その後フスカ港でルアーズと再会の約束を果たし、パーティに誘ったことからリーダーになっている。

アンバスと知り合ったのは、フスカ港から旅に出たばかりの頃のことだった。
この最初の旅は、ワイエン列島の一時的な内乱が起きたため、ルモアに寄港して滞在を余儀なくされるという、足止めからのスタートだったのである。

当時、アンバスは初めて大セト覇国の内情を聞かされた。
二人が知っていたのは調べた情報だけだったが、アンバスは関心を持った。

彼が憧れたロマアヤ公国に生まれ、内乱が起こった時、家族と共にリザブーグ王国へ移民したというルアーズ。
同世代の彼女は腕の立つ武闘家であり、魔法は使えない。

大学に行く代わりに、自分も修行の旅に出たい。
サザナイアやルアーズがそうしたように、彼も両親の承諾を得て、パーティに加わった。

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