The story of "LIFE"

第 06 章「使命」
第 01 節「断崖と絶壁」

第 08 話
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宙にメゼアラムの魔法陣が浮かんで、ついに龍王ゲルエンジ・ニルを捕らえたかに思われた。

しかし、彼はまだ屈服しない。

ヱイユが標的を外さぬよう、風の力で抑え付けていたものを、操(あやつ)り返す形で跳ね除けて、大きく翼を広げたゲルエンジ・ニルは、今度はヱイユに竜巻を仕向けてきた。

二重のバリアによって守られているものの、身動きが取れなくなってしまった。

『人間とは、悪知恵がはたらく生き物だな。
もはやお前に何をしても効かぬとは・・・。』

領空を侵す者には罰を与え、威信を示さなければならない。
ただそのプライドだけで戦ってきた。

遥か上空からの勢いに任せて龍王に痛手を被らせたアーダは、下方で様子を窺っていたが、この「天地の支配者」を恐れる気持ちは、人間のヱイユよりも強かったに違いない。

ヱイユからの合図を待つ、だがそれだけではなかった。
力が違い過ぎるゆえに、恐れて動けないのだ。

ゲルエンジ・ニルら竜族は空の王者であるとともに、水棲して力を蓄える習性がある。
灰竜アーダにも水によって傷を癒す能力が具(そな)わっていた。

ダメージから回復するために、いったん海底深く潜ろうとしているらしい。

翼を抱きこむようにして収納したゲルエンジ・ニルは、「大蛇」のような姿へと変化(へんげ)を遂げた。
そしてアーダ目掛けて真っ逆さまに突っ込んだ。

強力な竜巻に動きを封じられて、バリアの中で様子を見ていたヱイユは、なんとかしてアーダを助けなければと思った。

『狙いはお前じゃない。
奴は海に潜りたいだけだ。
早く、俺を助けに来い!』

ヱイユの声が聞こえて力を漲らせたアーダは、恐れを吹き飛ばすように鳴き声を上げると、一気に上昇して戻ってきた。

水飛沫がかなりの高さまで立ち昇っている。

さて、次の攻撃に備えなければなるまい。

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