The story of "LIFE"

第 05 章「宿命」
第 03 節「羅針盤」

第 14 話
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リザブーグ王国周辺の森で、徘徊するロボット兵の砲撃を受けた時など、敵も少なく味方も自分が守れる範囲だったからこそ負傷者を出さずに済んだが、今回はノイやルアーズのように自ら動けるメンバーばかりとは異なる。

経験の上でも、魔法の知識の上でも頼りになる老婆ヴェサは、大セト国の兵器で攻撃されたら絶対に身でかわすことなどできない。
必ず誰かが守ってやらなければならないし、その分、先手を取ったりスピード戦で敵を制するような作戦は立てられなくなるだろう。

ただ、ロマアヤの民の中にも機敏な者がいるだろうし、現に大セト国と交戦してきた人々だ。
兵器にどう立ち向かうかは、ある程度現地で教わる方がいいかもしれない。

『ミサイルを安全に回避したり、確実に味方を守れるような方法は何かないだろうか・・・。』

一つ一つの魔法は自然界の法則の一部であり、ミサイルのような兵器にしても、その法則の上で機能しているのだ。
ならば、兵器が戦争の道具となりうる殺傷性がどこにあるかを知ることで、封じ込むことも可能なのではないか。

フィヲやザンダと組んでの実戦経験がないのは心細い。
また、ヴェサの実力も、できるだけ早く見極めておきたいところだ。

当面、戦法や、強みも弱みも見て知っているのはルアーズだけとなる。

ザンダとは一度、演習をやっておきたい。
また、ヴェサを知るためにもフィヲとよく話をすることが大事だ。
特にフィヲが持つ力については、この時のファラにとって全く未知数なのである。

昼下がり、ファラはザンダに、町外れの野原まで案内してもらった。
魔法力を取り戻そうと、毎日来ているという。
ドガァも一緒である。

「使える魔法は、『インツァラ』と『フィナモ』、『ゾー』だよね?」
「よく知ってるじゃないか。
本当はそろそろ『テダン』の勉強がしたいんだけど、黒ローブを着せられてから10日くらい、全然魔法が使えなくなっちゃってて・・・。」
「うん、回復したら、すぐに覚えられると思うよ。
そうだ、シェブロン先生からみんなに預かっているものがあるんだ。
・・・ぼくらの手で、将来一冊の本にまとめようね。」

それはファラが全ての魔法を修得するために、ヒントとして読むよう渡された手紙の束だった。
博士がフィヲやザンダのことまで思って書いた文体は優しく、船旅の途中にもきっと読めるだろう。

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