The story of "LIFE"

第 05 章「宿命」
第 03 節「羅針盤」

第 12 話
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今まで、こんなに近くに感じられる人がいただろうか。

シェブロン博士を人生の師と決めた時から、ファラの中でいつも厳愛の声が響いていた。

しかし、フィヲは異性であり、同年齢であって、自分とタイプも異なっている。

それがなぜだろう、自分にないものを持っていて、力が足りない時、必ず補ってくれると信じられる人、互いに成長できる関係にあり、一緒に成長することを喜び合えるという、かけがえのない存在に思える。

彼女に対しては殊(こと)に、照れ性を隠せない彼だったが、今、出会えた奇跡に、自身の全存在が、うれしくて、うれしくて仕方がない、そんな気持ちを一つに感じられたのである。

『ぼくが剣を志したのは、彼女を、そして彼女を育んだ師を守りたいからだったんだ。
“LIFE”、それは彼女の中にある。
シェブロン先生の中にある。
ぼくの中にある・・・。
そして、全ての人、全て生命の中にある。』

彼は、彼女との関係を、誰の前でも恥じるようなものにしたくなかったので、すれ違うワイエンの船乗りや、町の人々に対しても、ベタベタとくっついて見せたりはしなかったし、手をとったりもしなかった。

ただ、彼女が自分に捧げてくれた気持ち、どんなことがあってもたすける、という覚悟にだけは真剣に応えなければならないと思い、しっかり目を見て言った。

「フィヲさん、LIFEは、ぼくが生命にかえても守ります。
それができるように、強くなりますから、力が足りない分は、一緒に戦ってください・・・。」

食堂は水夫たちが出払って空っぽになっていた。
だがもう少しすれば後番の昼食が始まるだろう。

ザンダがルアーズを相手に夢中でしゃべりながら、二人が来るまで待っていた。
からかったのは悪意ではなく、新しいパーティを組むにあたって、ファラとフィヲのつながりを頼もしく思ったからであり、ザンダはフィヲの味方だったし、ルアーズはファラの味方だった。

今後のことを話す必要があるので、4人はトレイを持って宿の2階にある大部屋へ上がっていった。

昼頃の室内は陽光があまり入ってこない。
ヴェサは窓の近くで椅子にもたれて眠っていた。

ファラが自分の食事を置き、すぐにヴェサの分を取りにいこうとした。
今日は離れることができないようで、フィヲも一緒に降りていった。

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