第 05 章「宿命」
第 02 節「“LIFE”を継ぐ者」
「あたしたちは博士に頼りすぎていたね。
今度のパーティでは若いタフツァに、当たり前のように任せっきりだった。
リーダーは必要だが、それぞれがしっかりと目的観を持って行動していかなくては・・・。」
3人は、これまでに遭ったどのような試練も、訓練も、苦しかった思い出も、全てがシェブロンという師の守りの中の出来事だったと、ようやく気付いたのである。
ヱイユもまた自らの使命感によって修行を積んできたけれども、博士がいなければ到底“LIFE”を護ることなどできないし、博士が人を育ててきた歩みを次代へつなぐこともできずに、きっと途絶えさせてしまうだろうと、弟子としての致命的な欠点に気付かざるを得なかった。
『タフツァなら博士に代わってLIFEを発展させられるだろうし、世界中の人々の“尊厳性”を開花させていくに違いない・・・。
すぐにでも、アミュ=ロヴァの、LIFEへの見方を改善させて、二人を助け出してやらなくては。』
乱世には、弟子も能力に随(したが)って個々の役割を持つことは止むを得まい。
だが未来には、一人一人が師の全てを受け継いで、各地で立ち上がれるだけの布陣が必要となる。
それだけ世界は広く、人間は千差万別で、問題は多岐に亘(わた)っているからだ。
LIFEの騎士団をレボーヌ=ソォラに派遣できることは好ましい。
アミュ=ロヴァ軍は頼りにならないが、今度こそ、黒ローブの一団の脅威から人々を解放するのだ。
この戦いを前に、ヱイユは、“LIFE”に目覚めて戦う彼らを、一人も死なせるわけにはいかないと心に決め、最も危険な首領である悪魔使いフィフノスだけは自らの手で倒すと師に誓ってきた。
「先生のために、私は、何ができるかしら・・・。」
「ファラと一緒に力をつけることだな。
それは戦闘力に限ってのことではない。
ファラの戦いを補佐できるなら貴重な役割になるし、・・・まず自分という存在を知ることが大事だ。
焦らなくても、戦いの中で分かってくるさ。」
フィヲは多少、顔を赤らめて、自分とは一体どんな存在だろうと考えた。